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2008年7月23日発行
 
裏窓 ソウル事情窓 “ネット”が猛威をふるう韓国社会
 

 

ネチズン捜査隊「NSI」が登場

 「ネット社会」という言葉がある。
 韓国では「ネチズン」と呼ばれるインターネットユーザーたちがあらゆる掲示板やブログなどに集まり、コミュニティーを形成している。あくまでサイバー空間で行われるやり取りだが、現実社会に及ぼす影響力は少なくない。

自転車通勤を始めた柳仁村長官。自転車は「KONA」の高級車
 
   

 昔ならトイレの落書き程度だった噂が、ネット上で急速に広まり、全国的なニュースになることは今や一般的だ。1つの事実に数千人が反応し、世論が形成されることもある。
 根拠のない噂がインターネットで広まり、古くは14世紀ヨーロッパの「魔女狩り」、最近では北朝鮮式「人民裁判」、あるいは「マッカーシズム」と、本質的に変わらない状況を作り出す。
 昨年3月、学内の図書館で暴力を振るったとして、ソウル大の男子学生と、彼の交際相手の個人情報がインターネットで公開された。学校生活が困難になった男子学生は休学に追い込まれた。
 また、30代の女性が失恋を理由に自殺を図ったとの未確認情報がインターネット上に流出し、彼女の恋人が職場をやめた。最近ではネット上で、窃盗の濡れ衣を着せられた女子高生が飛び降り自殺したこともある。
 ネットの悪影響は“毒”といわれ、被害者も出ている。一方、最近ネット社会で新たな動きを見せるグループが登場し、注目を浴びている。
 米国のCSI(科学捜査隊)になぞらえて、その名も「NSI」。「ネチズン捜査隊」だ。噂の真相究明や一般ニュースの裏を検証する。
 文化体育観光部の柳仁村長官は10日から自転車通勤を始めた。一般紙は、「原油高を受け、エコ通勤する長官」と報じた。柳長官は“自転車で通勤した甲斐があった”と思っていたに違いない。
 だが、NSIによって柳長官は窮地に追い込まれることとなった。柳長官が乗っていたのは「KONA」という高価な自転車だったらしい。何時間もたたないうちに、自転車の値段、性能などが詳しくネット掲示板に掲載された。
 昨年、ソウルデジタルフォーラムに参加したグーグルのエリック・シュミット会長は、「現代社会はネットにより、一挙手一投足監視されることになるだろう」と言ったが、まさにその通りだといわざるを得ない。
 NSIの活躍は、意外なところでも発揮された。
 韓国で連日行われた「米国産の牛肉輸入再開反対デモ」は、参加者の人数をめぐり、主催者側と警察発表が大きく食い違っていた。例えば、6月28日のキャンドル集会の参加者を警察は1万人としたのに対し、主催側は10万人と発表した。
 NISは、キャンドルの光源を認識するプログラムで参加人数を算出してみせた。これには専門家も驚いたそうだ。
 とはいえ、NSIの活動を、既存のネット社会で見られた動きと何ら変わりはないとする向きもある。
 高価な自転車で通勤した柳長官の件にしろ、デモ参加者の件にしろ、相手を批判する傾向は、そのままだからだ。
 ネットの影響力は“毒”なのか“薬”なのか。結論はしばらく出そうにない。

 
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