「帰国事業で虚偽の説明」
「帰国事業」で北朝鮮に渡り肉体的・精神的苦痛を受けたとして、脱北した女性が朝鮮総連を相手取って約1100万円の損害賠償を求める訴訟を今週末、大阪地裁に起こす。
提訴するのは大阪府在住の韓国籍千葉優美子さん(47)。03年に脱北し、05年に日本に入国した。1年前から「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」(守る会)と協議を重ね、今回の提訴に踏み切った。
守る会関係者によると、女性は63年、両親らと帰国事業で北朝鮮に渡ったが、衣食住にも困る生活を送った上、強制収用所に入れられるなど悲惨な生活を送った。
女性側は「朝鮮総連が北朝鮮の実像をきちんと知らせず『地上の楽園』などと虚偽の説明をして送り出し、人生をめちゃくちゃにした」と主張している。
今回の訴訟は、日本だけではなく、韓国に暮らす脱北者にも影響を与えそうだ。韓国の市民団体「被拉脱北連帯」の都希侖代表は、「結果いかんでは、北朝鮮に家族や親戚を残してきた脱北者らがリスクを承知の上、訴訟を起こす可能性が高い」と見ている。
韓国でも、帰国事業をめぐり朝鮮総連を訴えようとする動きはあったが、請求が棄却されれば、「家族や親戚に被害が及ぶだけ」と提訴に踏み込めなかったという。
帰国事業は1959年に始まり、84年までに9万3340人が北朝鮮に渡っている。 |