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2008年4月2日発行
 
「民主党に期待するな」 元米国官房長官らが平壌で忠告
ワシントン 金暎勲(本紙論説委員)
 

たっぷり時間稼ぎした北朝鮮 
つまずくオバマ 笑うマケイン

 北朝鮮は、ビル・クリントンが大統領職にあった8年と、ブッシュ政権の7年を合わせ、15年もの間、生き延びるための時間を稼いだ。
 3月14日、ジュネーブで北朝鮮代表団との会談を終えた“米国の北朝鮮大使”クリストファー・ヒルは、こう言った。

「ここまで忍耐を強いられたのは初めて」
 
   

 「私の仕事で、ここまで忍耐を強いられたのは初めてだ」
 米国の北朝鮮との核交渉は足踏み状態にある。
 イスラエル空軍は昨年、シリアの核施設を攻撃したと発表した。米国はイスラエルから、シリアと北朝鮮の核関係を裏付ける資料を手に入れたにちがいない。だが、6カ国協議の枠組みを壊すことをためらってか、米国は北朝鮮とシリアが共同で核開発を行っているという疑念を表明することはなかった。
 ブッシュ政権は忍耐強い。米議会では、それにじれるような主張もある。「核保有国には核を持って対処すべきだ」
 ブッシュ政権は、「平和的外交手段」を手放そうとはしない。6カ国協議の枠を用意したのもそのためだ。
 現実はどうか。北朝鮮に対する先制攻撃(Pre‐emptiveAttack)や封鎖(Blockade)を行うのではないかと、思わせるほど状況は悪化の一途をたどっている。
 今年11月の米国大統領選。民主党が政権を握る可能性は排除できない。共和党政権よりも、もっと与しやすい政権が米国に生まれるという観測もある。果たしてどうか。
 2月末、民主党の大物2人が、ニューヨーク・フィルに同行してピョンヤンに入り、金正日政権に「誠実な警告」を行った。大物とは、クリントン政権時の国防長官であったウィリアム・ペリーと、元駐韓米国大使のエバンス・リビアだ。2人は非公式に個人の資格で訪朝した。
 ある情報筋によると、彼らは北朝鮮に対し「民主党政権との交渉が容易になると期待しない方がいい。むしろ困難になるだろう」と伝えた。
 訪朝中、リビアは、現在行われている交渉で何の成果も得られなければ、今後の見通しは暗くなると北朝鮮当局に伝えたという。
 もし、金正日が民主党を与しやすしと思っていたのだとしたら、リビアとペリーの来訪で、考えを変えただろう。
 その民主党。予備選はいよいよ最終コーナーに入った。
 現在民主党の代表争いでトップを走っているバラク・オバマだが、突然つまずいた。オバマが尊敬してやまないトリニティ・ユナイテッド教会のジェレミア・ライト牧師が、礼拝の場で、GoddamnAmerica!(アメリカに神の呪いがあらんことを)と説教の中で言った。オバマ自身も「人種差別」発言が過ぎて、全米の反感を買った。
 現在、民主党の予備選は、ヒラリー・クリントン48、オバマ42の差で進んでいる。
 オバマはライト牧師を「20年来の精神的指導者」と表現している。オバマは釈明に追われているが、「ライト発言」によって失った信頼は容易に取り戻せそうにない。米国社会に黒人が抱いてきた“反感の代弁者”としか見られなくなれば、オバマは黒人の票しか期待できなくなる。人口比率から見て、民主党の大統領候補になることすら難しい。これはウォールストリート・ジャーナルも指摘している。
 オバマ夫人の失言もあった。夫人が「大人になり、初めてこの国を誇りに思う」と演説で叫んだ後、オバマ候補の支持率は目に見えて落ちた。
 「ライト発言」もあいまって、「オバマに愛国心はあるのか」と疑う市民は増えつつある。
 ビル・クリントン元大統領は3月21日、「フィルタリングなき大統領候補論」を発表した。マスコミは、1950年代の米国政界を恐怖に陥れたマッカーシズムのような立場を取っていると批判したが、クリントン発言は、オバマが人種差別を利用していることへの反撃だったと人々は見ている。
 一方、予備選勝利を確実にした共和党のマケインは、9月の全党大会まで余裕を持って政策・構想を練ることができる。民主党候補に比べ優位に立っていると言っていい。
 2月だけで得た個人献金額を見ると、オバマ5500万ドル、クリントン3500万ドル、マケイン1100万ドルとなっている。それでもマケイン優位は変わらない。献金の総額で見ても、オバマ1億9730万ドル、クリントン1億738万ドル、マケイン6640万ドルとなっているが、オバマは62万5000ドルの負債を抱えているという(3月20日現在)。
 ギャラップが行った世論調査の結果によると、誰が民主党候補になっても、マケインとの本選では、民主党候補は41対48の劣勢に立たされるといわれる。マケイン陣営は民主党の混戦を横目に勝利を手元に手繰り寄せている。
 マケイン候補が勝ち、共和党政権が続くとなれば、北朝鮮は文字どおり喪中の家のように静まりかえるだろう。軍人としてベトナムでホー・チ・ミンと戦った経験を持つマケインは、北朝鮮に対しては、どのような姿勢で向かうのか。
 ともあれ、民主党が勝つのであれ、共和党が勝つのであれ、北朝鮮はコーナーに追いつめられる運命にあるということだ。

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