統一日報 ログインはこちら
ホームNEWS情報NETWORKデータベース
トピックス政治経済社説社会文化特集
2008年4月9日発行
 
北京五輪 渦巻く開会式ボイコットの声
 

ブッシュの開会式出席に「ノー!」 米議会 共和・民主超党派で
ナチスの影見る欧州 聖歌ランナーの走路 こだわる中国

 中国政府への疑念とともに、北京五輪開催への疑問も深まっている。
 3月28日からスロベニアの首都リュブリャナ近郊ブルドで開催されたEU(欧州連合)非公式外相会合は、2日間にわたって北京五輪への各国首脳の開会式出席をボイコットすべきかどうかをめぐって揺れたが、ドイツ、ポーランド、チェコ、エストニア、スロバキアなどがボイコットを表明した。

1936年ベルリン五輪。10万人が「ハイル・ヒトラー」を叫んだ Copyright U.S.Holocaust Memorial Museum
 
   

 中国をサポートしたいブッシュ政権も「マコッター法案」で揺れている。共和党下院政策委員長ザッド・マコッターは、「北京五輪をこのまま何事もなかったように開催させていいのか」とブッシュに詰め寄っていた。中国当局のチベット自治区での抗議行動弾圧やスーダンでの振る舞いを中止させたかったのだという。彼は2日までに、米大統領の五輪開会式への出席を禁じる法案を議会に提出した。
 IOC調整委員会委員長ハイン・フェルブルッゲンの苦悩は深まるばかりだ。彼はしかし、欧米を中心に広まるボイコットの声にあまり理解を示していない。
 「開会式をボイコットするなど、政治的な動きをオリンピックに持ち込むべきでない。オリンピック憲章は遵守されるべきだ」(4月3日の記者会見)と言うこと以外に国際世論を納得させるべきどんな言葉も持ち合わせていない。
 オリンピックは予定調和であろうはずがない。これまで、予定されながら開催されなかったオリンピックは3回あったという事実をIOC調整委員長のフェルブルッゲンが忘れたわけではないだろう。第6回ベルリン大会、第12回ヘルシンキ大会、第13回ロンドン大会がそうだ。いずれも戦争勃発によって中止された。オリンピックは戦争を超越できなかったということだ。
 大戦が終わっても、政治はオリンピックに関与し続けた。たとえば1948年第14回ロンドン大会では、第二次世界大戦の責任を問われて、日本とドイツは参加を拒絶された。1980年にはモスクワ大会が、米国の対ソ戦略によって「東側五輪」へと矮小化された。「参加することに意義がある」というクーベルタンのモットーは政治の力に体よくあしらわれたと言っていい。
 何より、しっかりと思い起こすべきは、後に「美の祭典」と称されたナチス体制下のオリンピックだ。「ヒトラーの大会」と呼ばれたこの第11回ベルリン大会が、ナチスの宣伝に利用され、その裏でユダヤ人虐殺が進められていたということを否定できる人はいない。開会式に詰めかけた10万人の観衆が、例の右手を掲げるポーズで「ハイル・ヒトラー!」を叫んでいる光景を私たちは今も映像で確かめることができる。
 ナチスドイツにとってオリンピックは、ドイツ民族の優秀性と自らの権力を世界に誇示することのできる絶好の場だった。中国共産党と北京五輪もそうではないかと、世界は疑っている。
 中国が異常にこだわる聖火リレーも、実は、ベルリン大会で初めて行われた。ギリシャ・オリンピアからバルカン半島を北上し、ベルリンにやってくる聖火リレー。ヒトラーはそのルート、地形を調べつくし、6年後、全欧州侵攻へと逆走することになる。
 中国にとっても、聖火ランナーを是が非でもチベット、ウイグル地区に通す必要があるのだろう。彼らにとってそこが「我が領土」であることを世界にアピールできる絶好の機会なのだと、国際社会は見ている。事実、1990年の北京アジア大会では、前年に分離独立運動が起こったチベットで聖火の採火が行われた。アジア大会関係者は、「なぜほかでなくチベットなのか?」と挟むべき疑問を何一つ持たなかった。
 「五輪憲章」は、「人種、宗教、政治、性別、その他に基づく、国もしくは個人に対するいかなる形の差別も、オリンピック・ムーブメントへの帰属とは相容れないものである」としている。
 アムネスティ・インターナショナルは1日、「中国当局の人権弾圧に暗黙の了解を与えている」として、IOCの北京五輪開催への準備を強く批判した。「中国の人権状況を悪化させており、五輪憲章に背いている」と指摘したのは、ニューヨークに本部を置く国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチだった。
 22日付の独紙『ビルト・アム・ソンタグ』は、ドイツ外相ヴァルター・シュタインマイヤーの言葉を伝えている。
 「独裁者ヒトラーの政権下で行われたベルリン大会とは事情が異なる。テレビで華やかな五輪を放映して、裏では騒乱が続いたままという事態は通用しない」
 シュタインマイヤーの発言を受けて、欧州議会議長ハンス・ゲルト・ペテリングは「中国側が事態に対して妥協姿勢を示さなければ、ボイコットという対応は正当化されよう」と述べている。
(編集委員 仲田功)

 

各国の反応
ボイコット表明
・ ドイツ・シュタインマイヤー外相「メルケル首相もスポーツを担当する内相も、開会式には出席しない」首相府報道官「もともと出席を予定していなかった」
・ チェコ・クラウス大統領「中国の弾圧に対する抗議が十分でない」
・ ポーランド・トゥスク首相「ポーランドは中小国であり、最初の(ボイコット)国になりたいとはあえて思っていない。しかし、五輪開会式への政治家の参加は不適切である」
・ エストニア・イルベス大統領の報道官「日程上の問題」
・ 米下院ローバッカー共和党議員「中国は(スーダン、ミャンマー、北朝鮮など人権を侵害している国との経済関係などにより)深刻な人権侵害を支えている(中略)アメリカが(1936年のベルリン五輪と)同じような全体主義体制の国の大会を支持することは間違いだ」
・ ブラジル大統領報道官
・ スロバキア・フィツォ首相
・ アイルランド外相

聖火ランナー
・ バイチュン・ブティア(サッカーインド代表キャプテン)「団結の意志を示すべきだと感じた」
・ ナリサラー・チャクラポーン(タイ王室の流れをくむ家系)「チベット住民の殺害は公然たる人権侵害で、中国政府の国際世論無視を示している」
・ ダビド・ドイエ(フランスの柔道五輪金メダリスト)「聖火リレーでは“より良い世界のために”と書いたバッジをつける

参加表明
・ 英・ブラウン首相「五輪はボイコットしない。英国は開会式に参加する」
・ EU・ソラナ共通外交・安全保障上級代表「私は行く」
・ スウェーデン(国民は半数以上がボイコット支持)
・ 日本・福田首相「中国政府も努力をしている最中に、五輪に参加しないとか言うべきではない。日本と中国は近い関係にあるのだから冷静に判断しないといけない」
・ 米・クリステンセン国務次官補「五輪は中国が人権やその他の問題での進展を世界に示す機会だ」
・ ポルトガル・アマード外相
・ スペイン

立場保留
・フランス・サルコジ大統領「他の国の立場を見極めたうえで、開会式に出席するかどうか、私の態度を決めたい」

他の記事を読む
韓国総選挙 ハンナラ党に追風
当社は特定宗教団体とは一切関係ありません
Copyright 2008 onekoreanews.net All Right Reserved.
会社案内  個人情報  著作権  お問合せ