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2008年4月2日発行
 
食糧危機 核よりもっと大事な人権
 
 

 北朝鮮の食糧不足が深刻だという。
 国連食糧農業機関(FAO)は、3月26日に報告書をまとめ、今年10月までの穀物不足は166万トンに達するだろうと指摘したうえで、国際社会の協力が必要だと訴えた。
 「またか」の感はぬぐえない。国連機関の「訴え」が、である。
 これまで北朝鮮に対する支援はどれほど行われてきたのか。韓国、日本、米国、EUの懸命な活動があった。直ちに集計できないほど、各国の支援量は夥しいものになるはずだ。
 06年から08年8月までの2年間に限っても、国連世界食糧計画(WFP)は1億223万ドルの支援予算を立てた。
 だが、各国の募金は鈍り始めた。19カ月を経た今年3月時点でも、半分の5600万ドルしか集まっていない。
 募金が鈍ったのは、明らかに06年10月の核実験が原因しているとWFPは見ており、世界は人民を飢餓の淵に追いやっても「体制保障」を図ろうとするのが金正日政権であるという現実を知った。
 北朝鮮の食糧危機が依然として解決されない責任は、過去も現在も、まったく国際社会にはない。


人々に届かぬ支援

 米国議会は2004年1月、「朝鮮民主主義人民共和国における自由と人権擁護他を目的とする法令」(北朝鮮人権法)を制定した。条文の中には、「米国議会の調査結果」が盛られていて、「北朝鮮政府は、指導者への忠誠度に基づいて全住民を分類しており、それにより食糧…その他の資源への受諾権が決定される」と指摘している。
 米議会はこの調査結果に基づき、「最も支援を必要とする北朝鮮の人々へ支援が行き届くよう、これらの支援を監視下に置くべきだ」と強調していた。
 ところが、北朝鮮政府は支援が監視されるのを嫌い、現地への国連機関の立ち入りを妨害してきた。送られた食糧が北朝鮮住民に行き届いていないことは、脱北者らの証言や目撃談などで裏付けられたと、米国をはじめ支援国は判断している。
 米議会は、「1995年以来、累計200万トンを超える人道支援を行ってきた」と報告しているが、その米国も今は対北支援の空しさを覚えている。


北に問われる人道精神

 北朝鮮の「飢餓」が伝えられ始めた1990年代中頃、当時のバーティーニWFP事務局長は言ったものだ。
 「北朝鮮の飢餓を避けるための機会は失われつつある。我々が直面する問題は飢餓が起きるかではなく、何人が餓死するかだ。必要なのは赤十字精神なのだ」
 国際社会はこの警告に耳を傾けた。
 赤十字精神には何ら政治的意図は含まれていない。救済を必要とする側の意思さえあれば支援は成り立つはずだった。それが成り立たたない状況が、北朝鮮にはあった。人道支援の精神がまったく通用しないということを国際社会は対北支援で経験した。
 食糧問題は、つまるところ人権問題なのだということを見据えるべきなのだ。
 故トム・ラントス元米下院議長は「核問題よりももっと大事なことは、人権問題だ。核と人権を取引すべきでない」と叫び続けた。
 肝心の韓国政府はどうか。前政権は核も人権も不問に付し、ひたすら金正日政権を支えようとした。この政権を退けた李明博政権は金正日政権への視点を定めたのか。
 李大統領は、政権発足後、「私たちが北朝鮮の人権問題を論じるときは、戦略ではなく、人間の普遍的な幸福の基準に立っている」と語った。本音であってほしいと思う。しかし、前政権の対北無条件支援をまったく否定したわけではない。新政権の「核放棄が先決」という姿勢をどのレベルで理解すればよいのか。ラントス氏が懸念したように、まさか核と人権を取引するようなことはないと思うのだが…。

 

 
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