| Q&Aサイト立ちあげ 米マイクロソフトと業務提携
「バブル崩壊」といわれる日本のIT業界で大躍進を遂げ、話題を呼んでいる在日韓国人がいる。3世の兼元謙任さん(41)だ。兼元さんが手がけているのは、ネット上で悩みや疑問を書き込むと、ほかの利用者が答えるQ&Aサイト。1999年に設立した会社は、07年6月期には売上高9億1800万円、社員60人の企業に成長した。今年3月にはソフトウエア界の最大手の米マイクロソフトと業務提携を結んで世間を驚かせた。マイクロソフトがオンライン・サービス事業で日本の企業と資本提携契約を結んだのは今回が初めてだ。
(崔世一)
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ネットの掲示板にパソコンの使い方を質問したのが成功の始まりだった |
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兼元さんは、今でこそ、Q&Aサイトを運営する「オウケイウェイブ」(東京都渋谷区)の創業者だが、それ以前はホームレスだったいうのだから驚かされる。知る人が「どん底から這い上がった」というが、まさにその通りだ。
1966年、名古屋市で生まれた。韓国人であることから幼少期にいじめにあったというのは、よくある話だが、仲間の裏切りで事業に失敗してからホームレス生活を余儀なくされたあたりは、サクセスストーリーとして小説化されてもおかしくない。
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愛知県立芸術大学を出ている。もともと「デザインで世の中を変えたい」という夢があった。福祉関連商品のデザインコンペなどに参加して数々の賞を受賞した。しかし、なかなか商品化に結びつかなかったことから自分で事業をやってみようと思った。
昔からのデザインサークル仲間とともに、起業準備を進めた。だが、仲間たちには熱意が伝わらない。勤めていた会社を辞めてまで奮闘したのは自分だけで、ほかの仲間は半ば腰掛け気分だった。そのうち一人抜け、二人抜けした。事業計画は結局、挫折した。落胆してひさしぶりに家に帰ると「生活に疲れた」という妻の置き手紙があった。
再起を誓うにも手元には何もなかった。
東京のある会社の社長に事情を打ち明けたところ、自分の仕事を手伝えといわれた。新たな仕事にはパソコンが必要といわれた。借金してノートパソコンを購入し、上京した。ところが、その社長、兼元さんの顔を見て慌てるばかりで、仕事をくれるようなことはなかった。
こうしてホームレス生活が始まるのだが、この時購入したパソコンで人生は再び急展開を見せる。
駅のトイレや公園を転々としながらも、知り合いに無理に仕事を頼み込んだ。入ってくる仕事は名刺のデザインとホームページ(HP)の作成ばかり。得意ではなかったパソコンだが、仕事のためには覚えるしかなかった。
ネット上の掲示板に使い方を質問すると、「聞き方が悪い」、「何様のつもりだ」、「バーカ」といった返事ばかり。誰も教えてはくれなかった。兼元さんは、ふとひらめく。
「ユーザー同士が情報提供し合える場をつくろうじゃないか」。これこそ、のちに年商9億を生み出すこととなるQ&Aサイトだった。
試験的に立ち上げたユーザー同士が意見を交わすコミュニティサイトは、瞬く間に評判を呼んだ。NTT関連会社が自社のHPに採用し、楽天の三木谷浩史社長も6000万円を出資してくれた。群雄割拠の業界で、思わぬ“金鉱”を掘り当てたのだ。
日本初となったQ&Aサイト「OKWave」は、現在約107万人の会員が利用している。NTTレゾナントの「教えて!goo」など約50社のサイトとも連携しており、事業規模と知名度は日々拡大している。
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IT業界には、ベンチャーと呼ばれる企業が雨後の竹の子のように誕生している。「だが、IT企業家たちが世の中にもてはやされ、また一気に落ちていく姿を見てきた」と、兼元さん。
自分は助けられたと思っている。「ありがとうございます」というのが口癖となった。成金趣味とは一線を画す。外国産の車も海外有名ブランドも身に着けない。目標は、世界の人々がネット上で助け合えるサイトをつくることだ。
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