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2008年4月16日発行
 
編集余話 瞻星台 
 
「なんでや!」 くいだおれ

 巨大なフグとカニの看板、それに“太郎人形”は、大阪・道頓堀の三大名物だ。それぞれ「づぼらや」と「かに道楽」と「くいだおれ」のトレードマークなのだが、その「くいだおれ」が7月に店じまいするという。店の前に「なんでや」と、大阪人やら、にわか大阪ひいきやらが集まって、てんやわんやの騒ぎだ。一度も店に入ってもみないで、今さら遅い▼たこ焼き、お好み焼き、イカ焼きと、「粉もの」の多い大阪に「ちゃんとした料理が何でも食べられる」総合食堂ビルが戦後生まれた頃、人々は、中座、角座、竹本座などを後にしてよく立ち寄った。「ええもん観て、ええもん食べよう」と▼大衆食堂に大衆が来なくなり、上方芸能が影を潜める時代に、道頓堀の“味わい”がもうひとつ消えるということだ。それでも、「くいだおれ」という言葉は、昔ながらの大阪をシンボライズして後々まで残るだろう▼一般に、京都の着物贅沢と並び称して、「京の着倒れ、大阪の食い倒れ」と説明される。江戸の頃から言われたそうだ。豪勢に飲み食いして身代をつぶすという意味のことらしい▼必ずしも食べ物に由来するとは限らないという説もある。水の都大阪なのに治水を怠り、そのため大雨に祟られ、たびたび杭が倒れて流されたというところから「杭倒れ」の言葉が生まれたというのだ。語源は定かではない▼こんな話を聞いたこともある。かの“天下人”が天下にふさわしい大阪城をと、大阪から播州にかけて築城のため人をかりあつめたが、まるで足りず、商人までかり出した▼で、商人たちは杭を打ちながらヘタヘタになって倒れたそうな。「杭に倒れ」ながら、つぶやいた。「どうせやったら、腹破裂するまで食うて倒れたい」▼諸説紛々なのだが、このほうが、大阪人らしさを表していているような気がしないでもない。(H)

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