| 「国益を損なっていいのか」中国
聖火リレーがパリで妨害を受け打ちきられるという前代未聞の事態が出来したことで、8日、中国外務省の姜瑜(ジャンユー)副報道局長は、「オリンピックを妨害することで中国に圧力を加えようとする国は国益を損なうことになるということを知ったほうがいい」と述べた。
人権団体などから、チベットに対する弾圧行為は五輪憲章違反と、激しく批判されている中でのこの発言。中国側の強気な姿勢はどこから生まれているのか。
ロイター通信は、チベット・ラサで「暴動」が発生して5日後の3月19日、次のように伝えていた。
「チベット自治区で起きた騒乱では、西側諸国が中国政府の対応を声高に非難する姿勢はさほど見られず、中国経済の影響力の大きさが暗に示される形になっている」
アムネスティ・インターナショナルの中国専門家たちも、「中国をめぐる人権侵害を声高に言いたくない雰囲気が各国政府にある」と指摘していた。
「米国は、必死になって助けを求めている国(中国)に政治的見返りを与えたようだ」と報じたのはニューヨーク・タイムズだった。
米保守系シンクタンク・ヘリテージ財団のジョン・タシク中国政策専門研究員は、ロイター通信の質問に、「ワシントンでは中国を例外扱いにする傾向がある」と答えた。
ドル下落で信用危機に陥った米国と、1兆5000億ドルもの外貨準備を、ほとんど米国債で運用している中国。昨年12月、サブプライムローンの評価損で苦しんでいた米国の名門投資銀行モルガン・スタンレーは、中国投資公司から総額50億ドルの出資を受けて救われた。他の欧州諸国も同様の事情を抱えている。「国家資本主義の跳梁」と英仏のエコノミストたちは警鐘を鳴らしたが、ブラウン首相とサルコジ大統領は、昨年末から中国政府系ファンドとの契約に前向きになっていた。
だが、そのサルコジ大統領が、中国の人権弾圧を批判するパリ市民の行動を「間違ってはいない」とし、8日、「中国政府がダライ・ラマ14世と対話しないのであれば、五輪開会式への出席はなくなるかもしれない」と発言した。10日には英国のブラウン首相も五輪開会式の欠席を表明した。
「国益を損なう」と世界に警告を発した中国。世界の反中世論はしれたものだと高をくくっていたのか。チベット問題の波紋は、中国にとって予想外の広がりを見せた。
9日、ペロシ米下院議長は、ロンドン、パリ、サンフランシスコと続いた聖火リレーに対する人々の抗議行動を「世界で最も美しい光景の一つだ」と賞賛した。世界経済に影響を及ぼす中国であるのは間違いないが、人権問題の深刻さを世界がここにきて痛感しはじめたのも事実だ。
(金采浩)
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