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南北対立が再燃
新政府発足後、静かだった南北に緊張が生まれている。北朝鮮当局は3月24日、開城工団に常駐する韓国政府職員に、突然退去を命じた。韓国統一部は27日、「一方的撤収要求による責任は、全面的に北朝鮮政府にある」とコメントし、職員を引き上げさせた。北朝鮮は翌28日、半島西海上から韓国に向けて短距離ミサイルを発射した。韓国に対する対立姿勢を行動で示したことになる。29日には、韓国軍の最高級司令官が「対北先制打撃論」を唱えた。北朝鮮はさらに反発、29日、この発言を取り消し、謝罪しない限り、韓国側当局者の南北軍事境界線通過を全面的に遮断すると宣言した。韓国の国防部当局者は「北側に謝罪する意はなく、我々が謝罪する内容でもない」と明言した。(ソウル・李民皓)
焦り出した北朝鮮
韓国政府としては、前政権の対北姿勢を引き継がないという姿勢を明確にしたといえる。
北朝鮮が核放棄を進め、外国との折衝に応じれば支援を行うという「非核・開放・3000構想」は、韓国政府が「アメとムチ」を使い分けながら北朝鮮との交渉を進めるという意思表示だ。
新政府が北朝鮮に要求する第一条件は「非核化」だ。
李明博大統領は統一部の業務報告会で、1991年の南北基本合意書を「南北関係の根幹」にすると述べた。合意書の第1章第18条は「南北は朝鮮半島の非核化に関する共同宣言を誠実に履行する」と規定している。南北が交わした合意のうち、非核化を明記したのは91年の合意書だけだ。
昨年の大統領選終了以降、南北は水面下で交渉の主導権争いをしてきた。開城公団からの職員撤収と北朝鮮のミサイル発射により、南北の主導権争いは表面化すると見られる。
北朝鮮は1月中旬から非公式に南北折衝を提案していた。北朝鮮の金永南常任委員長が2月の大統領就任式に祝賀使節団派遣を打診したことも明らかになっている。
李明博サイドは「会談の目的が明らかでない」として打診を断った。北朝鮮は自分たちの好意を新政府が無視したと思ったに違いない。
平壌の事情に精通した事業家J氏は、韓国の政府職員撤収と北朝鮮のミサイル発射について、次のように分析した。
「体面を重視する金正日と北朝鮮は、(韓国の会談拒絶に)相当な屈辱を感じたはずだ。韓国側が姿勢を改める気配を見せないので、北朝鮮は物理的行動を取った。金正日は今後も西海の北方境界線(NLL)侵犯など、挑発を続けるだろう」
韓国側は、北朝鮮の挑発を意に介していないようだ。ミサイル発射についても「通常の訓練のようだ」(大統領府報道官)と、短いコメントを出しただけだ。
韓国政府は27日、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会の北朝鮮人権改善案に「賛成票」を投じた。同理事会で韓国が賛成に回ったのは初めてだ。
韓国軍の最高級司令官が「対北先制打撃論」を唱えるという、金泳三政権以来の強硬姿勢を示す一幕もあった。
合同参謀本部の金泰栄議長は、北朝鮮からの核攻撃への対処法について「もっとも重要なことは、敵(北朝鮮軍)が核を持っていそうな場所を確認して攻撃すること」(26日、国会人事聴聞会)と答えた。韓国の対北強硬姿勢に、北朝鮮は焦りはじめているという見方も広がっている。北朝鮮は韓国から毎春数十万トンのコメと肥料支援を受けてきたからだ。
表面化しつつある南北対立について、与野党とも「総選挙のため」と主張する。主張の趣旨は与野党で異なる。
ハンナラ党は北朝鮮が総選挙に介入し、李明博政府を混乱させようとしていると警戒している。野党側は、保守派の票を得るための意図的な選挙戦略だと非難している。
北朝鮮の挑発は、総選挙を約2週間後、李大統領の訪米・訪日を1カ月後に控えた時期に起きた。
南北関係の緊張は、4月末までは続くと見られている。 |