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梁泰昊著 プサン港に帰れない
「国際化」の中の在日朝鮮・韓国人
テレビ番組を作るきっかけは『プサン港に帰れない』だった。放送日は本が発行された翌月、1984年9月。「日韓新時代というが私たちの未来は?」と題したトーク番組だった。
収録を大阪市生野区の焼肉店フロアで行い、司会者はのれんをバックにこう切り出した。「大阪の焼肉のタレは韓国とも東京のものとも異なる。同じように在日韓国・朝鮮人にも独自の文化、生き方があっていいのではないか」
梁泰昊さんが本にこめたテーマだった。在日のアイデンティティをどこにどう求めていくのか。
出演者の在日青年は4人。差別撤廃運動や子供たちへの民族教育を担う者もいた。出演交渉のとき1人が「日本で生きていくことを前提に話をすると活動家でならして来た1世のジイサンたちから叱られるな」と出演には少しばかり勇気がいるのだと強調した。
「永住許可の特例」が出て2年。祖国志向ばかりではなくもっと自分たちが生まれ育った地域に根を下ろし日本人と共生していこうとの発言がテレビで放送されるのは、画期的だった。
それから4半世紀、「アイデンティティ探し」は深められてはきたがまだ途上だと思う。
梁泰昊さんとは91年に出会い、様々なテーマで韓国へ出かけもし、報道番組を作ってきた。
彼は、“在日の不幸”を差別のせいにし、一方的な要求をするばかりではダメだとよく言った。大事なのは人間としてフェアに生きることだと。
(朝日放送プロデューサー)
梁泰昊(ヤン・テホ) 1946年生まれ。関西大学文学部卒。著書に『ソウル 火の海』(光文社)『在日韓国・朝鮮人読本―リラックスした関係を求めて』(緑風出版)など。96年没。
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