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2008年3月19日発行
 
「YASUKUNI」が呼んだ波紋
 
自民党若手議員らが申し出て

 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」が、上映を前に物議を醸している。自民党内の若手議員らからなる「伝統と創造の会」(会長・稲田朋美衆院議員)が公開前に映画を見たいと申し出たことが波紋を広げるきっかけとなった。映画の製作に文化庁関係機関から助成金が出ていることから、同議員らは助成金支給の条件を満たしていない可能性があるとしている。映画監督や配給会社は「検閲」だと強く反発している。(溝口恭平)

日常は平穏そのものの靖国神社だが毎年8月15日になると、そこは奇妙な祝祭的空間に変貌する

公開前に試写会 監督、配給会社 反発

 監督は、中国中央テレビのディレクターとして数々のドキュメンタリーを制作してきた李リ纓イン氏。デビュー作の「2H」は1999年のベルリン映画祭で優秀アジア賞などを受賞している。
 李監督が文化庁所管の独立法人「日本芸術文化振興会」に助成金の申請をしたのは06年7月。同年10月には助成金支給が内定した。金額は750万円だった。
 試写を求めた議員らは、「商業的、宗教的または政治的な宣伝意図を有しない」ことと「日本映画」であるという2つの条項を満たしているかを確かめたかったと言う。
 李監督は「靖国神社の御神体である刀を作っている職人を中心に描いた。靖国神社という空間にある魂や精神的なもの(刀)の存在を感じてほしかった。魂や精神的なものに政治的宣伝意図を込めることはできるはずがない」と反論する。
 映画製作者側は、特定の議員だけによる試写は認められないが、それ以外の議員も含めてなら仕方ないと、12日、東京都内で試写会を行った。議員や代理人ら83人が参加した。会場で感想を求められた議員らは、「イデオロギー的メッセージを感じた」「反日映画といわれるようなものではない」などと、様々に意見を述べた。
 李監督は「事前に内容を見たいというのは『検閲』のようなものだ。日本社会にとって危険なことだ」と、議員たちへの不信を隠せない。
 稲田議員の政策秘書・井本幸三氏は、「“検閲”と言われているが、曲解だ。我々としては芸術文化振興会の助成金受給条件を満たしているかどうかを見たかっただけ。助成金を受給していなければまったく問題視しなかった作品だ」と、内容に不満を持っての試写要求ではなかったと反論する。
 「日本映画」か、どうかについて、李監督は「中国人監督が撮影して中国資本も入っているが、申請の段階で日本芸術文化振興会に伝えてある」という。
 振興会基金部の貴き志し徹さんは「手続きに問題はなかったと考えている」と述べた。
 助成金の募集条件には「日本映画」について次のような注釈がある。
 「外国の製作者との共同製作の映画については、独立行政法人日本芸術文化振興会が著作権の帰属等について総合的に検討して、日本映画として認めたものとします」
 映画の宣伝・配給会社「アルゴ・ピクチャーズ」の吉川正文さんは「何をもって『日本映画』とするか、基準は明確ではない」という。実際、助成金を支給される作品のなかには外国との合作映画もある。
 映画は4月12日、銀座シネパトスなど、都内各地でロードショーが予定されている。

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