|
「彼らにドボルザークはわからない」
ホー・チ・ミンを、北ベトナム市民は、「偉大なる主席」と呼んだりはしなかった。スターリンや金日成、金正日に長ったらしい敬称を付ける例のようなことなど、なおさらしなかった。人々は「バク・ホー」(ホーおじさん)と呼んだ。ホー・チ・ミンがそう言えと言ったのではない。自然とそうなった。そこが大事だ。マクナマラ元米国防長官は「ビッグ・ホー」と言ったものだ▼金正日は、敬愛する…何とかというのは止めたほうがいいと、一応たしなめたことがあったらしい。人民は言うことをきかなかったそうだ。それだけ人民は敬愛しているのだと北朝鮮当局。彼のスケールは、米国や日本の尺度では測れないと言う在日韓国人の教授もいた▼ところで、米国。情報関係者や外交関係者は私席で北朝鮮の話題に及ぶとき、金正日を「SmallKim」と呼ぶ。「金日成ジュニア」の意味かと思ったが、そうではない。文字通り「スモール」だからなのだという▼ついでに、米国では、金日成のことは「LargeKim」だ。なぜ、「BigKim」でなく、「LittleKim」でないのだろう? DIAの友人に聞いた。「そんなふうに言ったら親父はまるで大物みたいではないか。それに倅はそれほどチャーミングじゃない」という答えだった▼そんな「小者」たちに振り回されてきた米国こそお笑い種なのだが、それはさておくとして、国務長官のライス氏。ニューヨークフィルの平壌公演を、日本人資産家のカネを使って仕組んだといわれる。ところが、やれピンポン外交だの、やれバイオリン外交だのと、マスコミがもてはやすのに苛ついたか、たまりかねたように、「彼らにドボルザークはわからない」と、つい言ってしまった。北朝鮮を主権国家として認めたいライス長官でさえ、ジョンイルが「スモール」以外の何物でもないことを承知しているのだ。(H) |