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2008年2月20日発行版
 
ロシア籍青年を養子に受け入れた在日韓国人夫妻
 


「前例ない」でたらい回し
申請から4年 韓国籍に帰化 きっかけは子供の語学留学

 カレイスキー(在ロシア同胞の意)3世の青年(20)が、日本で初めて在日韓国人夫妻の養子となった。永住資格を持つ在日韓国人とカレイスキーとの養子縁組は前例がなく、在日同胞社会で話題を集めている。(大阪・韓登)

虎植さん(右)と申俊雨さん・盧桂順夫妻

 ロシア人男性の父とサハリン在住のカレイスキー2世の女性を母に持つ青年。ロシア名は「キウ」。キウさんを養子に迎え入れたのは、奈良県在住の申俊雨・盧桂順夫妻だ。
 キウさんの母は、モスクワの大学でロシア人男性と恋に落ちた。しかし、民族意識や宗教観などの違いから結婚を諦め、未婚のままキウさんを出産した。
 サハリン残留韓国人としてロシアで暮らしていたキウさんの母方の祖父母は、韓国政府が打ち出した「サハリン残留韓国人帰国事業」によって韓国に永住帰国した。キウさんの母も、祖父母の介護を理由に韓国に帰国することができた。しかし、カレイスキー3世であるキウさんの帰国は認められず、離散家族となった。
 キウさんはその後、韓国に永住帰国した祖父母と母を頼り、韓国廷世大学語学堂に留学した。キウさんは、同じ語学堂に留学していた申さん夫妻の次男、鳳植さんと親しくなり、兄、弟と呼び合うまでの仲になった。
 当時18歳だったキウさんは、カレイスキー3世として直面する問題で頭を抱えていた。
 これまで父親の顔を一度も見たことがないこと。今後ロシアに一時帰国した場合、空港で強制徴兵される可能性があること。徴兵された場合、韓国人とロシア人のハーフであることが差別の対象となり、軍隊生活の中で大きな不利益を被る可能性があること。徴兵によって二度と韓国に帰国することができなくなる可能性があること。
 鳳植さんを通し、キウさんが抱える問題を知った申さん夫妻は、ロシア籍を離脱させることがキウさんにとっての最善策であると判断した。申さん夫妻は、キウさんとの養子縁組を決意した。
 「在日韓国人と在ロシア韓国人との養子縁組は前例がない」との理由から、申さん夫妻は韓国領事館や日本の区役所、駐日ロシア大使館などをたらいまわしにされた。いずれも対応は遅く、返事がないことも一度や二度ではなかった。
 居住地の管轄である葛城法務局でも対応は難しく、奈良法務局へと引き継がれた。しかし、やはり前例がないことを理由に、最終的には法務省で養子縁組の手続きを行う方向で決まった。
 養子縁組の申請には、キウさんの母も積極的に協力した。キウさんの母は、数度にわたってロシアと韓国を往復し、ロシア裁判所が認定する書類をすべて揃えた。ロシア語の書類を英語と日本語に翻訳し、また韓国語書類は日本語訳を付けて提出するよう法務省から求められた。
 申請から3年半が経過し、日本政府から養子縁組の許可が下りた。しかし、キウさんの外国人登録証に記載された国籍はロシアのままだったことから、再度韓国への帰化申請を行った。キウさんが韓国籍を取得し、夫妻の戸籍に記載されるまで四年以上を要した。特別永住者の資格を得たキウさんは現在、申さん夫妻の四男「申虎植」として韓国で暮らしている。

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