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2008年2月6日発行版
 
「河丙ト氏復権」上程の動き
 

民団に再び騒動の火種?
「処分者減免」深まる懸念

 一昨年発生した民団の「5・17混乱事態」は記憶に新しい。混乱を招いたとして除名処分を受けたのは前中央団長の河丙ト氏だった。今、この河丙ト氏の復権をめぐり、民団内部が再びざわつきはじめている。一部都内の民団支部で復権を求める動きがあり、これが、1970年代に除名された郭東儀氏(現・韓統連常任顧問)の民団復帰を働きかける動きとも繋がっているようだ。復権を可とする理由は見当たらない。復権を願う人々は、「25日の韓国新政権発足に合わせて、処分を見直すべきだ」と述べているが、15日に開かれる民団の定期中央委員会に向け、処分解除の雰囲気を醸成しようする狙いがあるようだ。問題は、民団中央本部3機関長が処分解除案の上程には反対しない姿勢を見せていることで、このことが団員たちの懸念を増幅させている。(社会部・金総宰)


 正月気分のまだ冷めない1月上旬、4人の民団中央常任顧問は、金昌植監察委員長から諮問を受けた。監察委員長は、民団が処分を下している7人に対する処分の減免、解除について意見を求めた。
 つづいて1月25日、韓国中央会館で民団中央3機関・顧問合同会議が開かれた。席上、民団から除名、停権処分を受けている7人の名簿が示され、執行部(鄭進団長)から、河丙ト前団長の処分解除を中央委員会に諮ることが提案された。複数の顧問が強く推したようだ。
 河氏の復権を働きかけた常任顧問の一人、文慶韶さんはその理由を「河前団長を処分したのは仕方ないにしても、大統領も替わったし、南北をめぐる外部状況も変わっている。このまま除名というのはどうか」と説明した。
 さらに驚くことは、同じ会議の席で、親北派として知られ、民団から35年にわたり除名処分を受けている韓統連(在日韓国民主統一連合)の前議長、郭東儀氏(韓統連現常任顧問)の除名解除が提起されたことだ。理由は河丙ト氏に対するのと同じで、「処分をそのままにしておくのは適切でない」ということだった。文慶韶さんは「現在処分を受けている人はみんな(解除の働きかけの対象に)含まれると思いますよ」と話している。
 合同会議では、「(解除など)とんでもない」と猛反対する声が相次いだ。
 処分解除を中央委員会に諮るという動議は鄭進団長自身から出された。出席したメンバーの証言だ。
 「なぜ今、復権なのか、出席者の多くは不思議に思ったが、初めは皆黙っていた。団長は、河丙ト氏と郭東儀氏の名前こそ出さなかったが、処分の早期解除、減免を諮ろうとしたのは事実だ。だが、ほとんどの人が反対して見直しの提案は潰された」
 合同会議出席者たちによると、中央執行部が当初、処分解除を行おうとしたのは、金宰淑元団長(警告処分)と具文浩元副団長だったようだ。顧問の一人は、「執行部は停権中の具文浩氏を復権させ、金宰淑氏を常任顧問に返り咲かせたいようだ」と説明した。「両者の減免には問題がある」という指摘もあるが、問題をより複雑にしているのは、処分見直しが両名だけですまなくなり、処分リストにある7人全員の復権を諮らざるを得なくなることだ。民団の中には、むしろ、そのリストにある河丙ト氏と郭東儀氏の復権をこそ主とする動きも出ている。
 合同会議では処分見直し案は潰れたが、民団員の憂慮は深い。鄭団長は会議後、監察機関室を訪れ、「(中央委員会に)減免解除を上程しますからよろしくお願いする」と了承を求めたという。

 


“処分見直し”で波紋 「理由ないのになぜ?」
中央委員会に向け 民団中央が前向きな姿勢

 06年2月、河丙ト氏が中央団長となると同時に、親北朝鮮(親総連)グループの活動家たちが民団組織の中枢に入るようになった。彼らの動きは、一昨年、「民団・総連和解声明」が出されるのをきっかけに表面化した。その陰の主役が郭東儀氏だったと言われる。「共同声明」は、民団員の強い反発で白紙撤回されたが、その後も、民団員の警戒心は残り続けた。

除名中の河丙ト氏を常任顧問の筆頭に掲げる民団豊島の広報紙(1月17日付)

 「李明博政権がスタートすれば、太陽政策の見直しが始まる。そうなれば、日本の親北グループの活動範囲も狭められるので、彼らは今のうちに、河丙ト氏や郭東儀氏の復権を急いでいる」
 民団内部ではこうした声が囁かれ始めている。
 都内の支部では、河前団長の地盤である民団豊島支部が1月17日付広報紙でこう述べた。
 「韓半島情勢と国際政治の流を考察するとき、韓国政府が取っている北に対する融和政策はゆるぎないものであり、一部民団上層部が5・17問題を誇張し自分たちの正当性を主張するのはいかがなものかその見識を疑う」「これに基づく河前団長の除名処分及び金洪斤前中央顧問に対する処分も、前例のない規約解釈によってもたらされた不当な処分であることを、多くの地方幹部を含む団員らから強く指摘されているのが現状である」「速やかに両名の処分撤回と名誉回復を望むものである」(呉太勲支部団長の新年辞)
 この広報紙はまた、支部の役員名簿を掲げている。その支部顧問団名簿の筆頭に、除名されたはずの河丙ト氏が常任顧問として名を連ねている。
 民団幹部らは憤りを隠しきれない。
 「彼は民団から除名された身だ。その人物が支部の現職顧問としてあるのは、民団組織の決定をないがしろにするものだ」
 李時香民団東京本部団長は「河丙ト氏の除名はやむなしとして東京本部は納得している。河氏を顧問から除名した。支部に対してもそれにしたがうよう指導していく」と話した。
 河丙ト氏を歓迎する声もある。たとえば民団中央常任顧問の文慶韶さんだ。文さんは、「(河丙ト氏の処分解除を)今度の中央委員会で取り上げてもらうよう話している」と言う。
 第62回定期中央委員会は、河・郭両氏らの処分解除・減免問題を取り上げるのだろうか。
 理解しがたいのは、解除要請の動きが民団内でなぜ起こっているのかということだ。


「とらわれている間はない」

 「新政権も発足するし、本国を取り巻く状況も変化している。処分を解除してもいい時期ではないか」というのは、文慶韶さんの見解だ。民団のある幹部は「大統領が替わったからというのは、理由にもならない」と、文さんの見解を一蹴しながらも、「問題は、民団中央本部3機関長が処分解除を諮ること自体に異議を唱えていないことだ」と指摘する。
 「民団は今、処分問題にとらわれている間はないはずだ」
 「地方参政権」問題や、遊技業の不況に対処すべく奔走する民団員たちの声だ。一般の団員の中には、「河丙トさんには戻ってほしくないが、民団の結束を考えると、解除問題を頭から否定したら、また混乱するのではないかと心配する」と、率直に述べる人もいる。民団の事情というべきものだ。
 鄭進団長は、表向き、河丙ト氏の処分解除については、「中央委員会で取り上げることはない」と言い、郭東儀氏については、「論外だ」と明言している。実際には、監察委員には、処分解除案を上程したいと漏らしているといわれる。
 民団中央の意思がどこにあるかは別として、民団内部では「秘密工作まがいに総連と単独交渉し民団の結束を壊したのが河執行部と親北グループであるのは動かしがたい事実」だとして、処分見直しに反対する声が強いのは事実だ。

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