超高齢社会 対応急ぐ各国
2055年には、日本の65歳以上が人口に占める高齢化率が40%を超えると予測されている。高齢者にとってもっとも必要なのは、生活と医療・介護のための老後資金である。公的な年金と医療保険や介護保険は十分なものではなくなった。このような状況下で、老後資金は足りないが、住宅を所有している場合が非常に多い。老後の資金不足に対する解決策として、リバースモーゲージが注目されている。
老後資金の解決策となるか
リバースモーゲージとは、持ち家を担保にして、自治体や金融機関から定期的に生活資金を受け取る形で融資を受け、死亡時にその担保不動産を処分して借入金を一括返済するものである。逆抵当融資、住宅担保年金、逆住宅ローンなどとも呼ばれ、低所得者を対象とする公的制度と高所得者を対象とした金融機関などが販売する民間の制度がある。
日本の厚生労働省は、2002年、「長期生活支援資金貸付制度」を創設した。土地評価額の70%を上限に月額30万円まで、各都道府県の社会福祉協議会が利用者の死亡時まで生活資金を貸し付けるものだ。
その対象は、一定の居住用不動産を持つ低所得の65歳以上の高齢者世帯で、収入が少ないために生計が困難な者である。
しかし、制約条件が多い。相続人が連帯保証人となるためその同意が必要であり、マンションは対象にならない。また、貸付元利金が貸付限度額に達した時点で生活資金の貸し付けが停止される。累積利用件数は、2005年末現在で、378件にすぎない。
このリバースモーゲージには、受託価格下落リスク、金利上昇リスク、長生きリスクの3大リスクがあり、いずれのリスクが発生しても融資残高が不動産価格を上回る「担保割れ」が起こり、貸し付けが中断されることになる。
3大リスクのための保険制度
これに対応するため、アメリカでは、リバースモーゲージ債権を政府系の住宅金融機関である米連邦抵当金庫が買い取ることによって取り扱う金融会社に資金援助をしており、住宅都市開発省傘下の連邦住宅局が担保割れをカバーする保険がある。
一方、韓国では、昨年七月から公的リバースモーゲージである「住宅年金」が実施された。戸建て住宅、マンションなどが対象であり、相続人の同意は必要ない。この受託年金は、住宅金融公社が取り扱い金融会社に対して保証をし、銀行・保険会社などの民間金融会社が自己の資金で一定額を毎月貸し付けるものである。住宅金融公社の保証によって、担保割れの場合でも契約者の死亡時まで終身で住宅年金を受け取れるようにしたのである。昨年末現在でその累計利用件数は約500件にすぎないが、今年度中にすでにローンがある人でも同制度の貸付一時金によって利用できるようにし、さらに農村地域の人のために土地を担保にすることが計画されている。
日本では、築20年前後の中古の戸建て住宅の建物の価値がゼロと評価されるが、近年急増しているマンションが対象とされておらず、担保割れの際に貸し付けが中断される問題がある。また、民間の金融会社の資力は活用されていないため、利用の拡大に対応できるかは疑問である。制度を早急に改善し、超高齢社会に対応することが望まれる。
(早稲田大学教授・李洪茂)
超高齢社会 高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)が7%を超えると高齢化社会と言われる。さらに高齢化の速度が早くなり、高齢者が多く存在する状態が超高齢社会。08年1月現在、韓国の高齢化率は10.6%、日本は21.3%。 |