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2008年1月30日発行版
 
韓国社会を読む 不可解な“許京寧フィーバー”
 

政治家?コメディアン?詐欺師だった
「私あのIQは430」 「朴槿惠の婚約者」

 大統領選挙から1カ月。選挙の熱が冷めかけた韓国で、いまだに人気を博している大統領候補がいる。経済共和党の総裁、許京寧だ。
 韓国最大のインターネット検索サイト「ネイバー」と「エンパス」の検索語順位を見ると、許氏は李明博、朴槿惠などの有名政治家を抑え、常に上位にランクしている。
 不可解な“許京寧フィーバー”は、既存の政治家に対する不信感の表れであるといえる。
 世論調査機関「ポリシアン・リサーチ」のイ・ギョンテ代表は「許氏は既存の政治家とは正反対に位置する。まったく政治家らしくない人物」と分析する。
 政治家への嫌悪が反発心理として作用し、対極にいる象徴的な政治家への投票行為につながったという見方だ。

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 許氏の発言は、実際に理解不能なものが多い。
 「私のIQは、430です。IQ100程度の人が政治家になってはならないのです」
 大統領選を戦っているときから、遊説中に替え歌を歌ってみたり、自分は元ハンナラ党代表の朴槿惠氏の婚約者だったと言ってみたり、“奇行”が目立つ候補だった。
 公約は「結婚時に一億ウォン、出産時に3000万ウォン支給」や、「ニューヨークにある国連本部を板門店に移転させる」といった、非現実的なものだった。
 「政治家なのかコメディアンなのか、区別するのが難しい」といわれ、「政界の異端児」とも呼ばれた。
 国民の注目を集めた結果、許氏の大統領選挙での得票率は0.4%だった。
 韓国国会で第4の議席数を持つ民主党の李仁済候補の得票率が0.7%だったことを考えると大躍進だったと言える。
 一方、有権者は面白半分で許氏に投票しただけという意見もある。

 時事評論家の劉昌宣氏は「許氏は達成できそうにない公約を口に出して党員数を増やし、政党を利益団体にした。党の公認候補としての擁立をちらつかせ、カネを要求する行為は選挙法に触れる恐れがある」と指摘した。
 「許氏の言動は、許される範囲を超えている。これ以上政治がもてあそばれることがあってはならない」
 劉氏は厳しい口調で言った。
 許氏への批判は、テレビでも取り上げられた。
 MBCは「PD手帳」というドキュメンタリー番組で、許氏の実体を公開した。許氏が主張する自らの能力が虚構であることを検証するといった内容だった。
 一連の奇抜な言動が、知名度を高め、4月の総選挙で経済共和党を党として正式に公認してもらうための行為だともとれる許氏の対話も放映された。
 許氏がうそをつき、選挙法にまで違反していたことは明らかだった。が、許氏の人気は、落ちなかった。

 「PD手帳」放送から1週間後、許氏の個人ホームページは、1日1万人の訪問者でにぎわっていた。訪問者数はのべ165万人にもなった。「許京寧ファイト!」といった応援メッセージは、数千件にものぼっている。
 「PD手帳」を見た許氏は「私に対する問題提起は一種の通過儀礼だ」と述べた。側近には「(劉氏に)気を送って魂を引き抜く」と、荒唐無稽な“反論”を口にしたという。
 自分と目があえば2秒で病気が治る、宇宙人との会話もできると主張する許氏。
 すべては虚構であったことが明かされた。それでも人気は衰えない。許氏支持には政治家への嘲笑が込められている。
 開いた口が塞がらないのは、大部分の人が面白半分で見守っているなか、ごく一部ではあるが、許氏の奇行を本当だと信じている人がいることだ。
 許氏は24日、朴槿惠氏に対する名誉毀損などの疑いで拘束された。

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