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政治
2008年1月16日発行版
 
編集余話 瞻星台
 
暦をもどす人々

 鉱物の採掘で一塊を指す単位に「ノジュール」(nodule)が使われる。作家の堺屋太一氏はこれの訳語を使い、巨大なノジュールが戦後日本社会に露出する様を小説に著した。『団塊の世代』である▼彼らは昨年から定年退職を迎えた。子年の今年。団塊のピークを飾った1948年生まれが、定年退職者の列に加わる。230万人もの群れである。その数の多さに、話題は尽きない▼同じ年の私事を言わせてもらえば、中学の頃、同学年のクラスは22あった。卒業まで生徒の名前をついに覚えきれない教師が多くいた▼日本は戦後最多の高齢人口を抱えることになる。頭の痛い年金問題も、ようするに、この“老人”となる凄まじいばかりの大量の人々を、人口の激減した後の世代たちが支えることができるのかという不安に根ざしている。生産年齢の人口が急カーブを描き一気に下降線を辿るということだ▼この世代は「全共闘世代」と呼ばれる人々を含んだ。彼らはすべてを疑うべきだとし、叛乱に叛乱を重ねた挙げ句、あるべき社会像を失い、大量消費社会に絡め取られた。戦後世代で最もエネルギッシュであったが、“転向”の速度も目を見張るほど早く、社会、企業の各分野を占めて、かつては疑ったはずの体制を支えた。後の世代は、「大学に入るとペンペン草も残らいないほど問題提起は失せていた」と嘆いたが、企業社会でも、何もバトンタッチされず、彼らは勝手に辞めていくと、やはり嘆いている▼“団塊”に対する定年延長が各企業で図られるようになっている。還暦とは読んで字のごとく、暦が還るという意味だ。競争社会で暴れるだけ暴れ、叫ぶだけ叫んだ彼らだが、還暦の、本来はおまけのような人生に立っても世の中、なかなか休ませてくれそうにない。それも身から出た錆なのだが…。 (M)

 

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