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政治
2008年1月1日発行版
 
拉致・6カ国協議で足なみを
 
日本政府 ほっと一息

 韓国の新政権誕生で日本政府は、日韓関係の好転に期待を寄せている。日韓関係は、金大中―盧武鉉政権の10年で、冷え込む一方だった。韓国政府は竹島(独島)、教科書問題などでことさら国内の反日世論を煽った。「対日関係よりは民族共助」という対北政策で、世論を誘導する必要があったからだ。そうした政権が10年ぶりに覆った。李明博次期政権は、「韓日関係の改善」と「対北政策の変更」を訴えている。
(崔世一)

独島(竹島)には韓国の船着場があり、頂上には警備隊の建物が・・・
 
   

「盧武鉉さんよりは期待できる」

 韓国大統領選の結果に、日本政府は公式コメント以上に、内心、ほっと胸を撫で下ろしているはずだ。町村官房長官は、「両国関係がより一層良い方向に発展できるよう、新大統領に指導力発揮を期待したい」と述べた。
 「指導力発揮」という言葉には、冷え込んだ日韓関係を改善してほしいというメッセージがこめられている。
 朴正煕政権以後、積み上げられてきた日韓関係は、金大中政権末期から盧武鉉政権にかけて大きくダメージを受けるようになった。
 「想像以上の後退だった」というのが、与党自民党議員たちが受けている感触だ。
 「ひとむかし前までは、政府レベルとは別に、議員双方の深いつながりがあった」
 日韓議員連盟の幹事長代理をつとめる竹下亘衆議院議員は振り返る。「盧武鉉政権が誕生してからというもの、日韓の議員同士の結びつきは大きく後退した」
 韓国側も同じような感触を受けている。
 「日韓双方で政界人脈はほとんど絶たれていた。韓国政府の反日的姿勢があったとはいえ、議員どうしのネットワークが健在であったなら、外交摩擦はそれほど大きくならずに済んだはずだ」
 大統領選で李明博氏の「常任特報」をつとめたK氏の言葉だ。
 「日韓関係は現状より確実に改善する」(外務省関係者)。
 日本の政と官は、韓国の政権交代に諸手を挙げて歓迎している。
 日本政府が期待しているのは、対北朝鮮政策での連携だ。
 対北融和政策を第一義としてきた前政権まで、日韓は、6カ国協議への対応でも大きなズレを見せた。対北朝鮮政策には「相互主義」を主張し、拉致問題への取り組みも改めることを表明している。新政権は今年、6カ国協議でも取りあえず、日本側と足並みを揃えようとするだろう。ただ、この10年間で南北交流は定着しており、現状で、前政権までの対北融和政策にどこまで修正を加えることができるか。政権交代はしたが、対北政策で、国民はまだ判断を下していない。北朝鮮に対するスタンスは、決して定まっているとは言えない李明博次期政権が、国民の“顔色”を見てどうなるか。
 「それでも盧武鉱さんよりは期待できる」(内閣官房筋)というのが、日本側の大方の反応だ。
 民主党も、政権交代に熱い期待を寄せている。日韓関係を重視する国会対策副委員長の中川正春衆議院議員は「発言を聞いていると、北東アジアのビジョンを発信していける人だという感じをうけた」と、李明博次期大統領に好印象を持っている。
 「中国や米国に、韓国と日本が連携して対応すべき課題が多くある。(李明博氏は)その連携を緊密なものにしてくれるだろう。例えば、米国に対する基地交渉、中国に対する知的財産権の問題で日韓は共同で交渉できるだろう」
 2月25日の大統領就任式に福田康夫首相は訪韓する。日本側の期待をも乗せて韓国新政権は船出できるのかどうか。

 

 

   

こじれた関係 新政権で修復されよう
「議員同士の交流再開を」 竹下亘衆議院議員

 韓日国会議員の超党派で作る「日韓議員連盟」の竹下亘議員は、政府レベルでの韓日交流が活発だったころを快く思っている。
 「以前は、韓国の大統領が日本に来た場合や、日本の首相が韓国に行った場合、少なくとも、その時には日本の漁業水域で不法操業をしている韓国漁船はなかった」


 「日韓議員連盟」幹事長代理の肩書きが示すように、竹下議員の日韓友好にかける思いは深い。
 盧武鉉政権以前、韓日議員の交流は活発だった。関係がこじれたときも、議員交流が絶たれることはなかった。それが盧政権で変わったと、竹下議員は言う。
 盧武鉉大統領は、政権基盤を維持するため、「歴史認識」や「独島(竹島)問題」で国内の反日感情を煽ってきた。05年には、小泉首相(当時)の靖国参拝に抗議し、一方的に訪日を中止した。両国関係は冷えこむばかりだった。


 竹下議員の地元、島根県は韓国に近い。昔から交流があった半面、トラブルも絶えなかった。今は、韓国漁船が不法に韓日共同漁業水域を占拠しているとして、頭を悩ませてきた。
 「李明博氏が出てきて、悩まずに済むかもしれない。盧政権で途絶えてしまった議員同士の交流もきっと再開されるだろう」
 竹下議員の兄は、故竹下登元総理だ。アジア外交に力を入れた元総理と同じく、韓国との外交を積極的に進めるべきだと主張し続けてきた。
 「違う国の者同士、歴史認識の共有などできるはずがない。互いに違う歴史認識をもっていることを理解しあうことのほうが大事。歴史認識や領土問題では、互いに主張しあい、第三国の専門家の意見を受け入れてみるのもいいだろう」


 意見の衝突はあえて歓迎するという竹下議員。問題は、こじれた場合の調整能力が日韓双方で磨かれなければならないということだ。李明博大統領の誕生で、その基礎は築かれるのか。

日韓議員連盟 1972年発足。超党派の国会議員からなる。韓国の国会議員との交流や、両国の友好関係促進を目的としている。会長は森喜朗元総理。自民党議員が大半を占める。

 


新大統領に楽観と悲観 海外メディア
経済手腕に注目 フィナンシャルタイムズ
対北姿勢は疑問 ワシントンポスト

 李明博氏が歴史的な大差で勝利した韓国大統領選挙。各国メディアもかつてないほど注目している。「保守派の勝利」「対北朝鮮路線は強硬に」という内容の分析が目立っており、李次期大統領の経済手腕に注目する海外メディアも少なくない。


 英紙『フィナンシャル・タイムズ』は、「李氏はより強硬な対北姿勢をとるだろう」と分析した。同紙は外交面の変化について、対北政策でぎくしゃくしていた米国との関係は改善され、対北人権決議案で高まっていたヨーロッパ諸国からの不信感も和らぐだろうと予測している。
 「韓国は(北朝鮮に対する)“必要な批判”をためらわないだろう」
 フィナンシャル・タイムズ紙は李次期大統領のコメントを随所に引用しながら、特に韓米関係の改善が見込まれることに前向きな期待を寄せた。
 経済政策の面では「財政面での強みが政府による“呼び水政策”を可能にするだろう」と述べる一方、「より大きな課題である“改革”については、韓国でもっとも困難な官僚主義にぶつかるだろう」と見ている。


 米経済紙『ウォールストリート・ジャーナル』は、「韓国の新任大統領は、外国人投資家との競争に向けて韓国市場をより開放するだろう」と簡潔に論じた。
 『ワシントン・ポスト』は、李次期大統領の株価操作疑惑に韓国民が不信感を抱いていた点を指摘。その上で「韓国の有権者は倫理的・法的に問題のある企業のトップ(現代建設社長だった李次期大統領)に慣れているし、あるときはむしろ寛容である」とやや皮肉まじりの論評を掲げ、不正疑惑もそれほど影響しなかった韓国の事情を分析した。


 だが、李次期大統領の対北姿勢については懐疑的だ。
 「李氏は『平壌の政権交代に興味はない』と発言している。困窮する北朝鮮政府を、中国とベトナムをモデルにした改革で手助けしたいと望んでいるにすぎない」 
 李次期大統領に投票した有権者のうち、6割が「雇用・経済」対策に期待しており、「金正日の独裁」を関心事に挙げた人はわずか3%だった。国民が何を自分に期待しているのか、大勝で李次期大統領は確信したはずだ。
 西側のある外交官は、ポスト紙に「李氏は、核廃棄に見返りを与えようとする米国との共同努力に、何かをするようには思えない」と述べた。


 中国の英字新聞『チャイナ・デイリー紙』は英紙『ガーディアン』の記事を転載した。選挙結果が判明する前に金大中元大統領と行ったインタビューで、金元大統領が発した「仮に政権が変わろうとも、北朝鮮との対話は続くと思う」という言葉を紹介した。
 李次期大統領が「北朝鮮との対話は続ける」と発言したことなども述べ、今後の対北姿勢は不透明であることを示唆した。

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