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2007年12月5日発行版
 
韓国大統領選迫る
 

19日投票 両陣営 分裂のまま終盤戦へ

 党を分裂させた側は必ず敗れる。それだけは避けるべき。当たり前のことだが、特に韓国大統領選では最も大事な教訓となる。87年には金泳三氏と金大中氏の分裂で盧泰愚氏が、97年は李会昌氏と李仁済氏の分裂により金大中氏が、それぞれ当選を果たした。だが、今回の大統領選にかぎっては例外となる公算が高い。19日投票の韓国大統領選は、10年ぶりの政権奪還を狙う保守陣営も、守る側の旧与党陣営も、分裂したまま選挙レースの終盤に突入したからだ。
 (東京・崔世一、ソウル・李民皓)

李明博氏の疑惑が事実と判明しても有権者が支持し続ける可能性は大きい
 
   

李明博氏優位変らず 
国民の声は経済再建

 いつもの変わらない選挙光景がある。有権者のうち、35%は候補者の公約をまるで知らずにいる。候補者はネガティブキャンペーンに夢中で、マスコミもそればかりを追っている。
 異様なネガティブキャンペーン。攻撃の矛先は、もっぱら李明博氏に向けられたものだ。
 李明博氏はこの1年間、大統領候補としての資質を問われてきた。「道徳性に問題ある人物」との認識も選挙戦終盤にきて広まりつつある。ところが李明博氏の高支持率に変わりはない。
 11月16日、株価不正操作を李候補と共謀したとされる金景俊・前BBK社長が米国から帰国した。金氏は「李明博氏も不正に関わった」と証言した。マスコミの調査で、金景俊氏の証言にうなずいた有権者は60%を越えた。にもかかわらず、李候補支持率は2位を2倍近く引き離している。
 盧武鉉大統領のおかげと言っていい。
 「大統領のアマチュア的な国政運営に国民はうんざりしている。国民が求めているのは、安定的な経済大統領だ」
 明知大学で政治学を教えるユン・チョンビン教授は言う。
 有権者は李明博氏の疑惑が事実と判明しても、経済手腕に期待し支持し続ける可能性は大だ。

 大統領候補の中で、北朝鮮に厳しい姿勢を明確にしているのは李会昌氏だけだ。現状の対北朝鮮政策を「根本から変えねばならない」と断言。親北派や北朝鮮から猛烈な非難を浴びている。李会昌氏の対北姿勢は、一部保守陣営から歓迎されているが、過去2度、大統領選に敗れた原因や反省点を挙げることはなく、この点が世論の冷めた見方につながっている。

 金大中前大統領の選挙レースへの介入は露骨だ。11月22日、ソウル市内のホテルで開かれた「創作人フォーラム」に参加した金大中氏は、2代にわたる親北政権を「誇らしい10年」と表現した。
 「今は保守勢力が国民から多くの支持を受けているが、私たちが信念を持ち、力を合わせれば、怖いものはない」
 金前大統領は講演で、「私たち」と言いながら、親北勢力の結集を促した。彼は、過去2期10年の政権が「失われた10年」といわれていることに対し、「取り戻した10年」だと反論している。
 この日の講演のタイトルは「失われた50年、取り戻した10年、ありがとう金大中」だった。
 自画自賛とは裏腹に、「彼は焦っている」と、ほとんどが見ている。
 実際、親北政権の継承を自認する鄭東泳氏の支持率は、金大中氏が期待するほどには伸びていない。
 金大中後継政権・盧大統領と彼の政府への国民の不満はくすぶりつづけた。
 鄭氏が「私を選ぶことこそが政権交代だ」とあえて強調したのも、現政権と一線を画するのが有利と見たからだろう。
 鄭氏が所属する大統合民主新党は「ウリ党」を模様替えしただけという印象が強い。実際には、盧政権とウリ党の「失敗」の影を引きずっている。

 


李明博支持を宣言 「2007国民勝利連合」

 保守陣営を代表する市民団体「2007国民勝利連合」(金鎭洪議長)は11月27日、李明博候補への支持を宣言した。
 勝利連合には「ニューライト全国連合」や「先進国民連帯」など、300以上の保守系市民団体が加わっている。参加人員は100万人を超えており、国内最大規模だ。
 保守派の票は、李明博氏と李会昌氏によって奪い合いの様子を見せている。旧与党系候補が“漁夫の利”を得る可能性もまだ残されている。保守グループの勝利連合への参加は、そうしたことへの危機感を裏書きしていると言える。
 一方、朴槿惠前ハンナラ党代表のファンクラブ「パクサモ」(朴槿惠を愛する会)は同日、李会昌候補支持を宣言した。パクサモは会員数16万人で、個人を対象にしたものとしては最大規模だ。

 

ズラリと並んだ候補者たちの笑顔
 
   

来春総選挙への踏み台に
候補者登録 史上最多の12人
所属政党の存在感をアピール

 今回の選挙で、中央選挙管理委員会に候補者登録を行ったのは12人。史上最多となった。
 候補者登録に必要な委託金は5億ウォン。10〜15%の得票なら半額、15%以上なら全額が返還される。現実に10%以上の得票が見込める候補は3、4人で、残りの候補は厳しいと見られる。
 立候補者もそんな現実をわからないわけではない。それでも5億ウォンの委託金を払って立候補した。「来年4月の国会議員選挙をにらんでのこと」と言われている。
 大統領選挙は、候補者本人と所属政党の存在をアピールできる絶好のイベントだと思っているのか。
 現に、民主労働党から出馬した権永吉氏は、今回の大統領選で、目標を当選ではなく、「10%以上の得票」に置いていると、公言してはばからない。
 旧与党勢力の大統合民主新党の鄭東泳候補が「(選挙レースで)誰も走らない」とこぼしているのも、大統領戦後の来年4月の総選挙に向けてすでに派閥争いが起こっている状況を嘆いてのことだと言われている。

−主要5候補の公約−
鄭東泳 「家族が幸せな国」
李明博 「実践する経済大統領」
権永吉 「世の中を変える大統領」
文国現 「人中心、本当の経済」
李会昌 「大韓民国をたて直そう」
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