| スミ・ジョーを筆頭に 声楽留学生1万人
西ヨーロッパを中心に、韓国出身のオペラ歌手が注目されている。
韓国人歌手は、これまで何度か日本の舞台に出演してきたが、さほどオペラファンの間で知られていたとはいえない。
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11月30日、大阪で行われた「日韓4大テノール 華麗なる饗宴」に出演した、ハ・ソクベ(上)とイ・ジョンウォン(下) |
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ところが、ヨーロッパでの事情はちがう。韓国人歌手なしで公演が成り立たないという歌劇団が、たとえばドイツなどでは少なくないのだ。イタリアと並んでオペラの本場と称されるドイツでは、各地方のオペラハウスに少なくとも1人から2人の韓国人歌手が所属している。
韓国におけるオペラの歴史は浅い。韓国で初めて演じられたのは1948年。今も国内では、公演自体、多く行われてはいないが、歌手の実力はとりわけヨーロッパで認められるようになった。
最初に大きな注目を浴びたのはソプラノのスミ・ジョーだ。韓国の大学を卒業後、ヨーロッパに渡ったジョーは、世界的な指揮者だったヘルベルト・フォン・カラヤンに見出された。カラヤンをして「天使の歌声」と言わしめた歌声は、ジョーを世界一流のソプラノ歌手に押し上げた。今や、第2、第3のスミ・ジョーを目指す若者は後を断たない。
韓国人オペラ歌手が増えている理由は様々だ。まず、「声がいい」と言われる。「恨ハン」という朝鮮民族の特異な感情表現が、オペラとしての歌唱力を高めているのだと指摘する専門家もいる。
また、韓国人オペラ歌手が活躍する背景には、韓国社会の変化が大きくかかわっているという。
第1に挙げられるのは、キリスト教の普及だ。聖歌隊の一員として礼拝で歌ううちにプロの歌手を目指すようになったというオペラ歌手は少なくない。韓国人オペラ歌手の多くは、幼少期からキリスト教会に通っていたといわれる。
次にあげられるのは、音楽教育の充実、特に声楽を学べる場が多いという点だ。韓国・教育人的資源部によると、全国の大学で声楽科を設けているのは28校。日本の12校(文教協会・全国大学一覧に「声楽科」、「声楽学科」、「声楽専攻」で登録されている学校)の2倍以上だ。
韓国経済の成長も欠かせない要素だ。韓国内でも声楽を学べるが、卒業後の活動を見据えた場合、オペラ公演が盛んな欧米に留学したほうが有利だ。20年ほど前までは、ヨーロッパ留学にいけるのはごく一部の学生だけで、その大半も半年から1年という短期留学に限られた。現在、約1万人の韓国人留学生が、欧米で長・短期の留学生として声楽を学んでいる。
日本でも韓国人オペラ歌手の歌声に接する機会は増えているが、多いとはいえない。来日する外国人歌手全体に占める韓国人歌手の割合は、「実感としては多くない」(日本オペラ連盟)。
オペラ公演などのイベント企画会社の関係者は、韓国人歌手の認知度が低いためだという。
「オペラは西洋が本場という意識が強い。実際に、同程度のパフォーマンスでも西洋人が出演する公演のほうがチケットは売れる」
“本場”の欧米で活躍している韓国人歌手が、日本では人気がないという皮肉な状況が生まれている。
なお、韓国人が出演するオペラの情報は、韓国文化院などで入手できる。(文化部・溝口恭平)
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