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政治
2007年11月28日発行版
 
編集余話 瞻星台
 
「あなたたちは・・・」

 間もなく還暦を迎える友人に、すぐに怒り出すような青臭さはなかったが、若かった頃以上に、ずしんと胸にこたえるものがあったという。自宅がある川口市の、そこの一人の市役所職員との、さほど気にとめることもないかもしれない、ちょっとしたやりとりが、ずいぶん自分をめいらせた▲できることなら二度と来て欲しくないような夏が、居座るだけ居座って、ようやく去り始めた10月半ほどの頃、この夏のいやらしさのせいか、ひどく健康を損ねるようになった。1年間無診療で、市から歓迎の贈呈品をもらっていたというのに、急に国民健康保険証が必要になった▲ところが、保険証の期限が切れていた。役所に「新しいものがきていないのですが」と連絡した。「とっくに送付してあります」と役所の職員。郵便物を隈無く探した。見つからない。もう一度役所に電話した▲職員の対応はいささか丁寧さを欠いていた。おそらく友人のほうが年を食っていたし、税金も彼よりは長く多く払ってきたはずだ。役所職員に友人を敬うような気配はない。ぶっきらぼうに「もう一度、探せば」とだけ返事した。それでも見当たらなかった。再発行を頼んだ▲「仕方ありませんね。だけど今度は送付できませんよ」という答えが返ってきたかと思うと、友人をめいらせる言葉が次に飛び出した。「窓口まできてもらわないとね。あなたたちは…。わかっていますね。あれを忘れずに」。外国人登録証のことだった。友人は今さらのごとく「あなたたち」と言われることの意味を痛感した▲保険証は家に届いていた。小さく形を変えていたから見つからなかったのだ。友人はそれでも窓口に行き、一言いうつもりでいる。「国民健康保険証はあなたたちには施しなのですよ」と、友人は言外にほのめかされたような気分になっている。(H)

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