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2007年11月14日発行版
 
李会昌出馬表明の波紋
 

混迷深める韓国大統領選

 韓国大統領選挙を約40日後に控え、李会昌氏がハンナラ党を離党、無所属で大統領選の出馬宣言をした。元ハンナラ党総裁・李会昌氏の出馬で、大統領選挙の行方は混迷の度を深めている。李会昌氏は、過去2回、大統領選挙に敗れたが、2回とも1000万以上の票を得ている。影響力は依然あると見ていい。大統領選挙は、再び目の離せないサバイバルレースとなってきた。
(ソウル・李民皓)


保守分裂は必至

 「悲鳴でも上げたい」
 李会昌元総裁の出馬について、ハンナラ党の田麗玉議員は、自身のブログでこう表現した。李明博陣営の気持ちを表していると言えよう。
 ハンナラ党は9日の議員総会で「同志の背中に匕首を突きたてた裏切り者の李会昌氏は、直ちに辞退すべき」という声明を採択した。李明博候補は、予定していた日程をすべてキャンセルし、朴槿惠前党代表に電話で協力を要請した。朴前代表は「私たち(朴槿惠派)の状況は何も変わっていない。あえて会う必要もない」と断った。
 李会昌氏の出馬宣言後、ハンナラ党関係者の動きは慌ただしい。李会昌氏の出馬が李明博陣営に与えた衝撃のほどを示している。
 李明博候補は、旧与党勢力の厳しい検証攻勢や一本化の動きを静観してきた。旧与党勢力が何をしようが、自信に満ちた態度は変わらなかった。常に50%を超える支持率に、反対派ですら李明博候補の当選は75%以上と見ていた。 
 状況は一変した。李会昌氏の出馬宣言後、李明博氏の支持率は37、8%台に急落した。李会昌氏は21〜25%で、旧与党勢力のトップを走っていた大統合民主新党の鄭東泳候補を一気に追い抜いた。
 李会昌氏は出馬に際し、李明博候補を「頼りなく信じられない人物」と評した。李明博候補に向けられた不動産疑惑と、投資顧問会社の株価操作事件の共犯疑惑を指してのことだ。さらにハンナラ党の対北朝鮮政策にも批判を加えた。
 「国家の基盤が揺れ動いているのに、(李明博候補は)経済問題が最も大事だと言っている。今回の大統領選の最も重要な点は、単なる政権交代ではなく理念交代だ」
 李明博候補の曖昧な対北朝鮮観は、同候補を支持する保守派にとっても大きな不安要素だった。こうした支持者の不安が李会昌氏の出馬の動機になったと見る専門家は少なくない。
 とはいえ、李会昌氏の出馬によって、保守陣営の分裂は避けられない状況になりつつある。氏は、過去2度、大統領選に敗れた原因を自ら分析し、反省点を挙げるべきだが、支持者が納得できるだけの出馬の弁を述べてはいない。
 それでも、李会昌氏支持に回る有権者は多いと見られている。主要メディアの世論調査で20%を超える支持率を得ている。国民の関心は、すでに李明博氏と李会昌氏のどちらが勝つかに集まっている感すらある。


カギを握る朴槿惠氏の選択

 カギを握るのは、朴槿惠前代表だ。朴前代表がどちらを支援するかが、選挙戦を大きく左右すると見られる。李明博候補も李会昌氏も、朴前代表にラブコールを送っている。
 朴前代表は「8月の予備選以降、立場に変わりはない」と明らかにしている。予備選敗北後の「白衣従軍(一兵卒として従軍する)」発言を指すものと見られるが、見方によって解釈が変わる曖昧な表現だ。
 2人の李候補のキャスティング・ボートを握る朴前代表の選択は、大統領選の候補登録日である25、26日前後に下される見込みだ。

 

李会昌出馬は保守の要請
ハンナラ候補に欠点
−評論家李度ヒョン氏−

 元ハンナラ党総裁・李会昌氏の大統領選出馬表明に、歓迎ムードは見当たらない。
 ハンナラ党は「政権交代を妨げる背信行為」と反発しているほか、保守系団体やメディアも批判一色だ。盧武鉉大統領は沈黙を守っているが、青瓦台は李会昌氏出馬宣言を強く批判している。
 李会昌氏は、過去2回大統領選で惜敗しているが、保守層からなお根強い支持を集めている。李氏の出馬は大統領選にどのような影響を及ぼすのか。韓国言論界の重鎮、李度ヒョン氏に話を聞いた。
 李会昌元ハンナラ党総裁が大統領選出馬を決めた理由は何だろうか。
 「ハンナラ党候補に欠点が多いからだ。李明博候補が落選すれば政権交代は不可能になる。李元総裁の出馬は、保守派にとって“予備の候補”を準備するという意味だ。李会昌個人の権力欲があってのことだと考えるのは間違いだ。聞けば、李元総裁は、ハンナラ党候補が自分より優れているなら、その候補を後押しする決意をしていると言う」
 李明博候補としては危機感を覚えねばならない状況だ。朴槿惠代表との和解がカギを握ると見られるが。
 「朴槿惠は先の予備選の後、李明博陣営の態度に相当失望している。その一方で旧与党勢力候補の鄭東泳は、競争相手だった孫鶴圭や李海チャンを抱え込んでいくのではないかと思われる。2カ月も前に党の候補になった李明博は、朴槿惠陣営を抱き込むことができずにいる。予備選後、党内人事が李明博派に偏り、公平さを欠いた。ようするに李明博候補は勝者としての余裕を示せなかった。李明博は政党政治の原理をわかっていないようだ。朴槿惠は、どちらの側にも付けない微妙な立場にある」
 李会昌氏出馬への批判も多い。
 「朝鮮半島の平和体制を謳う親北朝鮮勢力に勝つためには、確固たる対北朝鮮観と自由民主主義の哲学を持った大統領が選ばれなければならない。李明博候補への支持は、親北政権に対する国民の失望の裏返しであるだけで、彼そのものへの支持とは言えない。李明博に不安を覚える有権者が李会昌支持に回るとしたら、『変心』ではなく『当然の帰結』だ。朴槿惠支持者が李会昌側に動いているのも同じ理由からだ」

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