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2007年10月17日発行版
 
「華麗なる休暇」の華麗なる捏造 −1− 軍は沈黙
 

大韓民国を敵に回す映画
趙甲濟 深層取材

 「華麗なる休暇」は、できれば見たくない映画だった。マスコミの過剰とも思える好意的な宣伝から、この映画の中身と、映画の意図するところを事前に知ってしまっていたからだ。
 映画に肩入れする過剰な宣伝は「親北」といわれる御用メディアに限った話ではない。正常とおぼしきメディアですら、この映画に対する批判を差し控えている。そうした点が何よりもこの映画の性格を説明してくれていた。

大統領選控えてなぜこの映画が・・・(写真は映画の一場面)

 金大中氏、朴槿惠氏、盧武鉉大統領がこの映画を見たということも、私の映画に対する目を冷ややかにさせた。
 大統領選を控えての封切り。政治的に利用されているとしかいいようのない映画で、明らかに1980年の光州事件における空挺部隊を「悪」、市民を「善」として描いている。そうでありながらも、私は映画を観なければならないという義務感を覚えた。
 1980年5月、釜山の国際新聞社会部記者だった私は、光州事態(正式には「光州民主化運動」。客観性を保つため、この記事では光州事態と表記する)を取材せずしては、記者として禍根を残すことになると思ったものだ。当時のことを思い出し、映画を見た人たちの感想に関心を注いだ。
 ある20代の女性は衝撃を受けたと言っていた。ため息と鼻をすする音も客席から聞こえていたという。
 しかし、「なぜ空挺部隊が野獣のように変心し、残虐な鎭圧をしなければならなかったのか、映画ではよく分からなかった」という声も聞かれた。この感想を述べた人は、学生たちがこの映画を見れば、韓国軍を非常に嫌悪するだろうと付け加えた。
 ある日本人は、映画を2度も見たと言い、興奮気味にこう語っていた。
 「私はそれなりに光州事態を調査したこともあり、よく知っている。映画を見て怒りを覚えた。他国の出来事に干渉するようだが、事実を歪曲していたことに腹が立った。被害者の立場に立つことは理解できるし、空挺部隊の残酷さを強調したことも理解できるが、この映画は大韓民国を敵に回している。愛国歌を歌うデモ隊に向かって一斉射撃するシーンがあった。これは本当に理解できない」
 私は1人でこの映画を見る気にはなれなかった。
 「シルミド」「ブラザーフッド」「黄山ヶ原」などの映画を、事実を歪曲して歴史を戯画化したと批判してきた私は、敢えて時間を割いてまで映画館に足を運ぶ気にはなれなかった。
 1人で見るよりは、誰かと一緒に見る方が少しは気も楽になると思った。誰と行こうか考えた。安富雄という名が浮かんだ。

 華麗なる休暇 光州事態を舞台にした映画。光州市内に暮らす兄弟が、軍とデモ隊の衝突に巻き込まれるという内容。100億ウォン以上の制作費が投じられ、豪華な俳優陣が出演する大作だ。封切り後4日で観客動員数は100万人を突破した。

 チョ・ガプチェ
 45年、慶尚北道・青松生まれ。韓国を代表するジャーナリスト。71年、釜山・国際新聞社入社。83年から月刊朝鮮に。98年月刊朝鮮編集長となる。01年(株)月刊朝鮮社長。05年、同誌編集委員。現chogabje.com代表。『韓国を震撼させた十一日間』(JICC出版)、『北朝鮮大封鎖』(講談社)など、著書多数。

 

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