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2007年10月10日発行版
 
南北首脳会談  平和構築は誰のためか
 

金正日に“拝謁”した韓国大統領

 盧武鉉を平壌に送り出した韓国民の不安は的中した。7年前の6・15宣言と比べ、分量にして6倍、内容にして10倍を超える宣言を行いながら、最重要課題の核問題については「解決のため努力する」と一言触れただけだ。金正日が機嫌を損ねかねない問題には深入りしないという意思の表れだろう。もし、宣言のすべてが履行されれば、南北は統一の前段階である「経済的統合過程」に入る。盧武鉉はそう確信している。国民は同意するのか。2カ月後、結果は下される。(東京・崔世一、ソウル・李民皓)=特集欄に関連記事

 「ひと言でいうと、よく話が通じる人だった」
 盧武鉉は都羅山で行った帰国報告会で、金正日を称えた。
 2人の共通認識は、韓国の次期政権がほごにできないような合意を見ることにあったと言える。そのためには、できるだけ多く、また具体的な内容を盛り込まなければならなかった。
 盧武鉉にとって今回の宣言は、「太陽政策」「平和繁栄政策」と続いてきた対北政策のフレームを、次期政府に引き継がせようとする執念の産物だったのだろう。金正日にとっては、自分をよく理解してくれる盧武鉉から、最大限の支援を得ておこうとする計算があったのは間違いない。
 だが、南北宣言の執行は、任期切れ間近の現政権では難しい。盧武鉉は数カ月前、「私が手形を発行すれば後任の社長(次期大統領)は決済しなければならない」と発言した。
 最初の壁は、12月の大統領選だ。次期政権を狙うハンナラ党は、盧武鉉の言う「決済」を行わない可能性は十分にある。
 次に、宣言の第2項にある「相互内政干渉禁止」と「相互の法制度の整備」は、脱北者問題や強制収容所に象徴される人権問題から、金正日政権に兔罪符を与えることにもなり、国家保安法廃止の理由付けにもなりかねない。経済的、政治的に大きなリスクを負うことになる、そうした宣言の履行を、国民が歓迎することはまずないだろう。
 多くの国民は首脳会談を冷ややかに見守った。両首脳の宣言が「共同宣言」とされなかったことを最も奇異に感じたはずだ。盧武鉉は、7年前の金正日―金大中会談のときとは違い、明らかに軽くあしらわれた。
 金大中も、金正日の前でみずほらしく、卑屈な姿を見せたが、盧武鉉はそれ以上だった。たとえば、晩餐会(2日、3日)では金正日が顔を見せてくれず、それでも盧武鉉は破顔一笑「国防委員長(金正日)の健康を祝って」と祝杯の音頭をとった。軽くあしらわれたように見られるシーンはほかにいくつもあった。
 金正日があからさまに盧武鉉を見下す場面を韓国民はまざまざと見せつけられることになった。
 見逃しにできない点をもう一つを挙げれば、南北首脳会談を今後随時行うとされたことだ。会談の開催地がソウルになることはまずあり得ないことを考えるなら、韓国は大統領が生まれるたびに平壌を訪れることになる。これは金正日(もしくは息子)に拝謁する格好となる。“平壌詣で”という実に無様な姿を韓国大統領はさらすことになる。
 終始、北朝鮮ペースで運ばれた南北会談。それでも韓国大統領盧武鉉は、金正日体制を援助できるだろうと、心弾ませいるのかもしれない。


盛り込まれた朝鮮戦争「終結」

 今回の首脳会談の最重要議題は「韓半島平和定着」だった。宣言の第4項に盛られた。朝鮮戦争当事国の首脳が3者、あるいは4者集まり、朝鮮戦争の終戦宣言を行おうと、金正日と盧武鉉は訴えた。
 4者というのはわかる。米・中と南北で、宣言は米国、中国にそれを呼びかけた。注目すべきは、「3者」という言葉が並行して使われたことだ。韓国は「韓国、北朝鮮、米国」だと説明している。これまで北朝鮮は、朝鮮戦争休戦協定の署名者が国連と中国、北朝鮮だという点を挙げ、韓国を排除しようとしてきた。韓国の説明通りなら、金正日は、北朝鮮のそれまでの対外戦略戦術「通米封南」(米国を通じて韓国を封鎖する)を転換させたことになる。
 韓国政府は5日「3者から韓国が抜けることは決してない」と説明した。
 中国のある朝鮮半島消息筋は、「3者という表現を用いたのは、中国が戦争終結宣言をさほど急いでいないことへの北朝鮮の反発ではないか」と分析した。この消息筋は、3者という表現は、中国の反応を推しはかるための南北の合作ではないかと読んでいる。
 韓国が中国を排除する理由は、朝鮮戦争参戦国の中で、中国だけが朝鮮半島に軍隊を駐屯させていないという点にある。北朝鮮が米国と関係改善をスムーズに進めれば、中国は焦り、より多くの対北支援を行うだろうという胸算用が金正日にあるのかもしれない。
 宣言第4項はしかし「非核化に対する意思」などの表現は盛り込まず、6カ国協議の円滑な進行に努力するという、曖昧な表現にとどまった。平和体制を論議するための前提条件は「北朝鮮の非核化」だが、形式的な意思表示すら入らなかった。

瓦解するNPT体制−最終回− 北とインドの違い
 金正日と盧武鉉の南北首脳会談で、金正日は改革・開放に強い拒否感を示したという。理由は、それをしては「体制維持」に支障を来すということにほかならない。
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6カ国協議 終幕迎える茶番劇
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編集余話 瞻星台 「歴史が何の役に立つのか」
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