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2007年10月24日発行版
 
東京測地系→世界測地系 オイルマネーの中東回帰
 

イスラム経済の戦略

 中東にオイルマネーの回帰が起きている。8月、米国から巨額の海外資金が流出したとロイターなどが17日報じた。米財務省統計で明らかになった。外国人投資家の売越額は1630億ドルに上り、月別の最高額を更新した。ドル安による投資収益率の低下やサブプライム問題での信用収縮で米国経済の低迷が予測されるためという。中東産油国のオイルマネー引き揚げも一因のようだ。


9・11が契機

 オイルマネーの中東回帰は9・11テロが契機となった。9・11で米国が湾岸諸国から巨額の資金を引き揚げ、オイルマネーの欧米回路を監視し始めたため、中東産油国が自らの資金で中東開発を進めることを決断したという。産業基盤に資金を振り向ける道を選択したのだ。
 中東諸国は建設ラッシュだ。ドバイには世界中のクレーンの2割が集中しているほどで、世界一の高層ビルも出現した。訪れる観光客は年間650万人に上り、産油国では、連日実業家を呼んで会議が行われているという。膨大なインフラ投資で、石油依存経済から脱却するため産業構造の多様化が図られている。
 中東諸国の産業投資は5100億ドル(60兆円)に上る。そのうち自分たちの意思で行う投資は600億ドル(7兆円)といわれるが、これは近く、1700億ドル(20兆円)に拡大すると見られている。オイルマネーの資産運用額は2000年の1億3000万ドルから06年には21億ドルへ16倍に跳ね上がった(米エネルギー庁統計)。
 オイルマネーによるインフラ投資は、中長期の投資を支える金融システムと投資チャネルのなかったことが投資を遅らせていた。この事情を変えたのはイスラム金融だ。


拡大するイスラム金融

 高騰する原油価格が中東産油国に大量の流動性をもたらしたことでイスラム金融の市場は拡大している。市場規模は推計4000―5000億ドルといわれる。この金融はマレーシア、パキスタン、インドネシアの第二イスラム圏へ広がる兆しを見せている。アルコールやタバコ、ポルノ、賭博、武器などの取引を禁じるイスラム金融では「収益性を中心に置かない金融取引」が行われる。従来の資本主義にはない金融文化は世界に脅威を与えつつある。イスラム経済は自らの戦略を持ち始めたといわれるゆえんだ。
 オイルマネーの中東回帰に対しては、冷めた目もある。先進資本主義国はすでに設備投資を終え、オイルダラーなどユーロダラーを必要とする時期は過ぎたという。「オイルマネーは中東産油国に返している」という見方だ。
 中東のオイルマネーは2006年度で4500億ドル前後と推計されている(みずほ総合研試算)。自国のインフラ投資のほか、金利を求めて欧米、アジアに向かっている。米国債にも投資されている。しかし、巨大な財政赤字、経常赤字を抱える米国がオイルマネーを返上するというのは合わない。中東産油国が「米国離れ」を起こしているというのが実態であろう。イスラム諸国の米国不信は日増しに強まっているといわれる。
 WTI原油価格は一時、1バレル90ドルを超えた。中東産原油も78ドルという高値だ。しかし、原油輸入の中東依存度67%の韓国、88%の日本は中東産油国の動向から無関係であることはできない。韓国の中東政策の今後が注目される。(金総宰)


 中東諸国 ファーイースト、ニアイーストに対応する地域概念。特定の国々を指す言葉ではないが、インドより西、トルコより東の国やアフリカ東部を指すことが多い。アラビア半島諸国など、産油国が集まる。



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