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2007年10月24日発行版
 
CINEMA VIEW 映画  肩ごしの恋人(韓国)
 
 
不倫 仕事 ゆらめく心
変えたくない自分 だけど・・・

 日本で連続ドラマにもなった唯川恵の同名小説が原作。
 「肩ごしの恋人」というタイトルは、恋人、もしくは夫、妻の肩越しに別の恋人を見ている場面を連想させる。不倫をテーマとした映画だ。

幼なじみのヒス(右)とジョンワンは32歳。強く生きようとする2人だが・・・
 
   

 原作者の唯川は、傍目にはばかられる男女の関係を描こうとしたのではない。不倫で傷つき、ふとしたときに、自分の肩越しに大切な人の存在に気づくという意味のことを言っている。
 映画には2人の女性が主人公として登場する。2人は幼なじみで、年は32歳。1人は既婚者のヒス、もう1人は独身のジョンワン。
 ある日、ヒスの夫が女性社員と浮気をしたことが発覚する。「男は浮気するくらいじゃないとつまらない」。平静を装うヒス。が、夫の浮気相手と対面して激高。そしてジョンワンの家に転がり込む。
 映画の宣伝文句の一つに、韓国版「セックス・アンド・ザ・シティ」とある。
 「セックス・アンド・ザ・シティ」は、マンハッタンに住む4人の女性が主人公。主人公は社長や弁護士として多忙な日々を送る一方、恋愛も積極的に楽しむ。
 恋人との宗教や恋愛観の違いを乗り越え、自分の思うとおりの生きかたを貫こうとするたくましさは、「セックス・アンド・ザ・シティ」の主人公にも、ヒスとジョンワンにも共通している。
 韓国に「ゴールド・ミス」という造語がある。「オールド・ミス」をもじったもので、経済的に豊かな30代女性を指す言葉だ。10年程前まではほとんどいなかった年上女性と年下男性というカップルも、今や珍しくなくなりつつある。
 女性が優位になりつつあるといわれる韓国だが、現実はそうでないことを、この映画は言おうとしている。
 家を飛び出したヒスは、夫に頼らずに生きていこうとするが、これといった資格や能力もないので、就職先は見つからない。「現実を見てください」職業安定所の職員の一言が重くのしかかる。
 ジョンワンは、不倫相手との関係がうまくいかず、ストレスを抱え込む。「クールに」が口癖で、相手に干渉しないジョンワンだが、いざ自分が必要とするときに限って相手はいない。
 医師から妊娠を告げられたヒスの言葉に、韓国社会の男性優位は表れている。
 「男の子がいい。だって男が有利な世の中だから」
 映画のラストシーンは仁川空港。仕事のため日本に旅立つジョンワンを、ヒスが見送る。
 ヒスは自分を「利己的」と認めた上で、これからも自分の生きかたは変えないという。自分の利己的な性格に委縮した夫は、離婚に際し、「自分には不相応」だとつぶやく。離婚の原因は自分にもあると思わずにはおれないヒス。だが、そんな自分を変えるつもりはない。
 一方、ジョンワンは不倫で負った傷を吹っ切るかのように仕事に邁進する。
 31歳の独身女性監督イ・オンヒは、「自分や同年代の友達の話を参考にした」と言う。だが、男性優位の韓国社会に生きる女性への応援メッセージなのだとしたら、少しパンチ不足か。
(文化部・秋一紅)
 11月23日、シネマメディアージュほかにて全国ロードショー。

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