| ブーム起こすか 台湾ドラマ「ザ・ホスピタル」
韓流の後は台流(華流)と言われて久しい。一時の勢いに翳りが見られる韓国のドラマや映画に代わって台湾の作品がブームになるというのだ。それがここに来て、どうやら本物の様相を見せ始めている。
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台湾で大ヒットした青春映画「花蓮の夏」 |
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その代表例は10月4日(木)から始まるNHK―BS2の「ザ・ホスピタル」(白色巨塔)だろう。もうご存知のように、午後11時からという時間帯は韓流に火をつけた「冬のソナタ」が最初に放送された同じ枠だ。そこにNHKが初めて台湾ドラマを投入するのだから、並みの作品のはずがないと思うのは自然の道理である。
事実、ドラマの演出は「流星花園〜花より男子〜」を手がけたツァイ・ユエシュンだし、出演者も豪華メンバーだ。若き外科医を演じるのは、その「流星花園」でアジアにブームを巻き起こした「F4」の一人、ジェリー・イェン。恋人役の麻酔医には映画「夢遊ハワイ」での瑞々しい演技が印象に残る若手女優のチャン・チュンニン。その他、ベテランのレオン・ダイや、チャン・チェンの父親、チャン・グォチュー、さらに香港からン・マンタも参加して脇を固める。
ドラマは病院内の権力争いや医療ミス事件を軸にしつつ、毎回さまざまなエピソードを折り込み、医師や患者らの人物描写もていねいで、見ごたえある群像劇となっている。
「ザ・ホスピタル」が「冬ソナ」のように一気にブームを巻き起こすかどうかは、もちろん即断できないが、NHKが踏み切った意味は大きい。
一方、台湾映画も一時期のどん底状態を抜け出し、せっかく台湾に行っても台湾映画を一本も見られないという悲惨な状態は過去のものとなりつつある。05年に姚文智・新聞局長が助成等による優遇策を通じ「年間製作本数100本」の実現をぶち上げた。03年に14本だった製作本数は05年には40本まで回復し、それに比例するかのように日本公開作品も増えている。04年にゼロだった公開本数は、05年2本、06年10本と着実に伸ばしている。
これは同じ06年の韓国36本、香港26本に次ぎ、中国の9本をしのいでアジアでは第3位の堂々たる成績だ。
数字の上では台湾映画の復調が著しいが、裏を返せば韓国映画にアジア系映画館を独占されていた“異常”な状態が少しずつ正常化してきたためともいえる。日本の配給会社がもう韓国映画で客を呼べる時代は終わったと考え、次のブームになるものを作ろうと模索した結果というわけである。韓国映画の減少と台湾映画の増加は実は表裏一体なのだ。
それではどんな作品がこれから公開されるのか。数字だけでなく内容も気にかかる。
11月に公開予定の「花蓮の夏」(レスト・チェン監督)は、小学校以来の親友同士が少女の出現で思わぬ結末へと走り出す青春映画。3人の純粋で孤独な魂の触れあいはひりひりするほどに切なく、昨年台湾で大ヒットを記録した。
日本公開の予定はまだ決まっていないものの、この夏台湾で大入りとなったジェイ・チョウ監督の「不能説的秘密」は、前半は主演も兼ねるジェイが自らの音楽的才能をいかんなく発揮する青春映画のノリ。後半は一転してホラーの様相を呈するという初監督作品とは思えない第一級の娯楽作品に仕上がった。相手役のグイ・ルンメイは台湾を代表する若手女優で、おじさんのほおが思わず緩んでしまいそうな魅力をたっぷりと見せてくれる。早くも映画の日本公開を求めるブログがネット上に開設され、多数のコメントが寄せられている。このような作品が続々と出てくれば、台湾映画の勢いも本物といえるだろう。
減ったとはいえ韓国映画は邦画を除けば相変わらずアジア映画の中ではトップを行く公開数を維持し、またシネマコリアやインディペンデント映画祭など多様な上映チャンネルを持っており、まだまだほかの国に王座を明け渡す様子は見せない。内容の充実にさらに努め、互いに切磋琢磨してほしいものだ。ハリウッドに少しでも追いつくために。
「花蓮の夏」は11月、ユーロスペースほか全国にてロードショー。公式ホームページwww.karen‐natsu.com
(アジア映画ウオッチャー・紀平重成) |