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6日、ソウル外信記者クラブで
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出席者
康仁徳 元統一部長官
ホンヨン 早稲田大学現代韓国研究所
司会 李民(本紙ソウル支社)
崩壊の道たどる南 生きのびる北
揺らぐブッシュ政権
北朝鮮核問題は重大な局面を迎えている。金正日政権は、限定的核保有を求めており、米国は容認する姿勢を見せ始めている。急変した米国の北朝鮮政策の背景にあるものとは何か。康仁徳・元統一部長官と、ホンヨン・早稲田大学客員研究員に語り合ってもらった。
ささやかれる6カ国協議無用論
元統一部長官 康仁徳
米国の対北朝鮮政策が急変したように見える。
康仁徳 米国に変化が現れ出したのは、今年1月、ベルリンで行われた米朝首席代表会談だった。彼らの変化はそれなりに苦慮した結果なのだろう。ブッシュ政権は、外交の最重要課題だったアフガンや、イラン、イラクなどの中東問題をはじめ、北朝鮮の核問題解決でも失敗が続いた。来年の大統領選挙戦までに何らかの形で外交的成果を上げなければならないという焦りがあったと思う。米国にすれば重要度の低い北朝鮮問題は、外交で解決しようと決めた。
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北朝鮮テレビ局が撮影した寧辺の核施設。すでに用途のない鉄塊だという指摘も(聯合)
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ホンヨン 米国国家安全保障会議(NSC)の朝鮮半島・日本部長だったビクター・チャは昨年6月、日本を訪れ、雑誌『フォーサイト』のインタビューを受けた。チャはそこで、昨年夏頃から、北朝鮮の真意を探ってみる必要があるという認識がホワイトハウスに生まれたと答えている。昨年起こった朝鮮半島がらみの出来事を振り返ってみると、7月にミサイル発射、9月に韓米首脳会談、10月に地下核実験があった。朝鮮半島危機が高まった時、韓米の対応には理解しがたい現象が見られた。「戦時作戦統制権(戦作権)の韓国軍への移譲」だ。北朝鮮のミサイル発射で、戦作権移譲の話し合いは常識的に中断すべきだった。ところが米国は、9月の首脳会談で戦作権移譲に合意した。北核実験の20日後には、具体的な移譲時期まで盛り込んだ決定が発表された。そして11月、ブッシュ大統領はハノイで、朝鮮戦争の終結宣言の用意があると発言した。昨年9月、韓米首脳会談で、両国は「共通の包括的接近方法」を6カ国協議の参加国と協力し作って行くことに合意した。国連安保理の対北制裁決議(1718号)があるにもかかわらず、米国は今年1月、ベルリンで北朝鮮側と接触し、北朝鮮がエチオピアへ武器輸出したことに、目をつぶった。不可解だ。納得できることではないが、韓米間に取引があったとすれば、説明できなくはない。韓国の宋旻淳外交部長官は、米朝のベルリン接触(今年1月)の前に、韓国と米国が十分協議したと認めた。全貌は明らかになっていないが、米国の対北融和政策への転換は、平壌側に立った韓国の現政権の工作によるものではないだろうか。
康仁徳 「高濃縮ウラン(HEU)」の話が出なくなったのも気になる。北朝鮮は1年前から濃縮ウラン計画(EUP)という表現を使いはじめた。EUPは、高濃縮ウランではない。いわば低濃縮ウランであり、発電などの非軍事目的に用いる。2002年10月、ジェームズ・ケリー米国務省東アジア太平洋担当次官補(当時)が、北朝鮮の姜錫柱外務次官に会った頃だと思うが、北朝鮮は、HEU開発のための遠心分離機を、3000個程度手に入れたと語っていたが、いつからか、この話は聞かれなくなった。核廃棄と平和体制を共に論議しようという「包括的接近論」が目立ちはじめ、北朝鮮に対する強硬論は影をひそめた。
米朝間のBDAをめぐるやりとりが、急に終わったが…。
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カン インドク 平壌出身。朝鮮戦争勃発で韓国へ避難。1961年から78年まで韓国中央情報部の北朝鮮担当局長。98年3月〜99年5月まで統一部長官。99年7月から日本聖学院大学総合研究所客員教授。
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康仁徳 米国がロシア・ハバロフスクの地方銀行に「取引に何の問題もない」と保証までして、2500万ドルを一括送金した。不自然だ。北朝鮮は今後、米国に核軍縮を申し入れるはずだ。自分たちのプルトニウム保有を認める代わりに、米国に核の傘を無くそうと申し入れるはずだ。2月の6カ国協議で合意した初期段階措置は、北の核施設に監視カメラを約20台設置することと、500以上の機械に封印をつける程度だったが、7月の6カ国協議首席代表者会合で、北朝鮮は軽水炉提供も要求した。新たな要求を一つずつ出せば、時間を引き延ばすことができる。その間に、北朝鮮の核技術力はますます高まる。
ホンヨン 米国が興味をそそられる戦略的な何かを、北朝鮮側は提示したと見られる。NSC
のビクター・チャや国務省は、平壌の演出に騙された。米国の対北朝鮮政策は、変わったのではなく失敗した。第一次ブッシュ政権は、世界に自由体制を広げることを目標に、敵性国家に対し軍事力を動員した。ほとんどのネオコンが去った第2次ブッシュ政権には、ライスやヒルのような外交官だけが残った。彼らは、最初から対話を志向していた。
康仁徳 94年の第1次北核危機時と比べると、米朝対話で米国はイニシアチブをとれていない。北朝鮮は94年当時、NPT加盟国だったから、制御機能は働いていた。今は何の制御もできない。6カ国協議に効力を持たすには、韓米日3国が連携してリードしなければならなかった。2008年にオリンピック、2010年に万博を控えた中国は、3国の圧力に譲歩せざるを得なかったはずだ。ところが今は2(米・日)対4(中・朝・韓・露)構造となっている。
ホンヨン 6カ国協議は、参加国どうしの情報の共有が極めて制限されている。「協議」の進展と「成果」の整理が難しいという限界はあった。米国は、戦略的錯覚に陥っていた。北朝鮮を除く5カ国が一致して、金正日に圧力をかけるはずだったが、はじめから2対4で守勢に回る構図になっていた。金融制裁のように、米国自ら主導できる手段はなかった。米国は中国を過大評価し、中国を頼った。米国は、情報と軍事力を持っているが、それを行使できる状況ではなかった。
望むべきは何か 大統領選挙
10年で韓国社会を変えた親北勢力
大韓民国を本来の位置へ
制裁を加え窮地に追いこめば・・・
早稲田大学現代韓国研究所 ホンヨン
ホンヨン 米国外交の不手際は、何によるものか。米政府、つまり国務省が、金大中政権以来の韓国の親北勢力の執拗な工作に嵌ったのだと思う。外交的、平和的解決という親北派の観点はもっともらしいが、非現実的だ。また、韓米FTAも、米国を嵌める道具として使われたようだ。
康仁徳 6カ国協議を正常に機能させるには、どのような方法を取るべきか。理想は、米、露、中、日の4カ国が、朝鮮半島の安保を実現するために「北東アジア安保共同体」を作ることだ。6カ国協議は今、北朝鮮の核問題一つも解決できず、北朝鮮の主張を実現するフレームになりつつある。2月合意で五つの分科会が発足したことも北朝鮮に有利に働くだろう。分科会別、つまり項目別に会議が細分化されているので、北朝鮮は気が向かなければいつでも引き延ばし戦術をとれるようになった。
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ホン ヒョン
1948年、韓国・ソウル出身。陸軍士官学校卒。ベトナム戦参戦。国防部と外交通商部勤務。駐日韓国大使館参事官、公使を歴任し、2003年退官。2004年から早稲田大学客員研究員。
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ホンヨン 金正日の側に立つ韓国の現政権が変わらない限り、6カ国協議を通じての問題解決は難しい。金正日はブッシュの任期いっぱい時間稼ぎができるだろう。
康仁徳 北朝鮮には“力の論理”の方が効力を発揮する。1976年、板門店で起きた「ポプラ事件」の解決のプロセスは、そのヒントになる。自国の2人の兵士が、北朝鮮兵に斧やこん棒で殺された米軍は、直ちに北朝鮮近海に空母を派遣するなどして圧力を加えた。北朝鮮軍と国連軍は、一触即発の状況だった。金日成は米軍に使節団を送り、直接謝罪した。米軍の反応を見て、恐れをなしたからだ。制裁を加えて窮地に追い込めば、北朝鮮は引き下がる。
ホンヨン 北朝鮮の上空へステルス戦爆機を飛ばすなど、米国が圧倒的な力を見せると、金正日はいつも屈服した。問題は韓国の姿勢だ。北朝鮮が核実験をした際、韓国はチームスピリット(米韓合同演習)の再開のような決定的圧迫手段を回復させるべきだった。しかし、連邦制を韓国に強いる金正日との「終戦宣言」や「平和体制」といった韓国憲法に反する提議が行われた。「平和体制」に対しては、91年12月に締結された「南北基本合意書」へ戻ればいい。南北間には「南北基本合意書」以上の平和体制をつくることはできないだろう。これを無視して6・15共同宣言(金正日と金大中による2000年6月の平壌会談)を発表し、記念日の制定を推進する勢力は、「大韓民国否定勢力」だ。
2期10年の親北政権が残した副作用は何か。
ホンヨン いわゆる「太陽政策」は空想の観念論であり、意図的な利敵・反逆の理論と言える。科学性がないので政策とも言えない。国民に独裁者を包容するように強いることで韓国社会へ価値観の混沌をもたらした。米国のある砂漠では、雨が降った30分後には一面が発芽した植物で覆われるところがある。韓国もこの砂漠のように、10年という短期間で多くの親北派が出現した。もはや、朝鮮半島安保のフレームは破綻した。
康仁徳 ハンナラ党は、太陽政策をしのぐほどの対北朝鮮包容政策を発表した。ハンナラ党の変化は、米国の対北朝鮮スタンスの変化と南北首脳会談開催を視野に入れてのことだろう。「変わらない守旧勢力」というイメージから脱却したいのだろう。ウリ党などからの攻撃に備えるための一種の「予防注射」ともいえる。しかし、いかなる理由であれ、「相互主義」のない対北朝鮮政策はありえない。この新政策は、いずれ修正されると思いたいが、6カ国の2月の合意文のように、前後がはっきりしていないのは問題だ。
ホンヨン 野党10年間の限界が来たことだろう。10年間の野党には、人材もカネも情報も途絶える。ハンナラ党の議員補佐官や党本部事務局員の大半は「非党員」で、多くは「運動圏」出身だそうだ。ハンナラ党は親北左派的空気の中で、左派の捕虜・宿主になったと言える。韓国社会は金大中・盧武鉉政権10年間左傾化した。ハンナラ党の「検証」騒ぎは基本的に左派的手段・手法ではないか。
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アルバイト求人に並ぶ大学生。若者の就業事情は厳しい(聯合)
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政界の386世代が、韓国社会に及ぼした影響は。
康仁徳 大学で講義をしていると、現政権に失望している若者は多いことがわかる。彼らは386の政策では、雇用の創出がなく、自分たちの就職に影響を及ぼすと考えている。前回の大統領選の際、ある集会に顔を出した。会場にいた若者たちは、一様に肩を落として悲観的になっていた。私は思わず声をかけた。「今の人たちが、若者や子供にしっかりとした教育を授けることができなかったのが問題だ。気にすることはない。希望はある」。歴史を元に戻すことは不可能だが、あえて言えば、韓国民が「民主化の時期」を逸したのは返す返す悔やまれる。最大のチャンスは、朴正煕死後の80年代初頭だった。だが、全斗換政権の誕生で民主化は実現しなかった。これにより、韓国の民主化は5年遅れた。
ホンヨン 今回の大統領選挙の意味は何か。独裁者金正日と手を結んだ親北勢力と、自由統一や先進化を指向する勢力との闘争だ。政権交替の枠を超え、体制交替を目標としなければならない。大韓民国を元に戻すためのものだ。金正日独裁治下の北朝鮮同胞にも希望を与えるべきだ。「死ぬにしろ生きるにしろ、戦争でも起きるように」という北朝鮮同胞の叫びに耳を傾けるべきだ。自由韓国の生存のために、これ以上ポピュリズムに騙されてはいけない。
康仁徳 それは一言で言って、「国家経営の正常化」だ。現在の安保と経済、社会システムは、すべて異常だ。これ以上、この異常体制は許されない。あと5年も待つことはできないということだ。今回の選挙で親北朝鮮政権を退けなければ、大韓民国は亡びるかもしれない。
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