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2007年8月15日発行版
 
食 ひろがる“日流”
 
 

 日本における韓国料理はどのように受け入れられ、どのように変化していくのか。
 若手韓国料理研究家ら4人に、「日流韓国料理」に対する考えを聞いた。

定着する韓国の味  日本の食卓真っ赤に?
伸び続ける食材とキムチの対日輸出
88五輪、サッカー、韓流ブームが後押

 日本向けの韓国食材の輸入が増えている。キムチの輸入量は、2000年以降目立って増えはじめ、04年には1億ドルを突破した。輸入量増加の背景には、韓流ブームと、それにともなう韓国訪問者数の伸びがあるという。(溝口恭平)

 韓国農水産物流通公社東京支社(東京aTセンター)の李鍾堅支社長は「30年くらいたてば、日本の食卓も真っ赤になるのではないか」と、韓国食品の普及に自信を覗かせる。韓国農水産物流通公社は、主に韓国企業の農水産物輸出業務を、支援・推進している公社だ。
 李支店長が自信を持つ理由は、日本向け韓国農水産物の輸出量増加にある。「稼ぎ頭」のキムチは、04年の1億ドル突破以降、05年の寄生虫騒動などで一時輸出が激減したものの、堅調な回復を続けている。
 「2002年のサッカーワールドカップ共催と、その後の韓流ブームで、韓国料理を口にする日本人が増えた。日本でも韓国料理を食べたいと思う人が増え、韓国食品の輸出量増加につながった」
 キムチは、88年のソウルオリンピックを契機に、大量に日本に入ってくるようになった。
 当時は輸出用のキムチを計画的に作る設備も環境も整っていなかったが、現在は安定した生産ができるようになった。
 李支社長はまた、「韓国食品に含まれるカプサイシンはクセになる」と、韓国食品の輸出増加の継続にも期待している。
 ワールドカップ共催や韓流ブームで人気に火がついた韓国料理。現在は、栄養バランスのよさが評価されているという。
 「キムチや韓国焼酎、マッコリに加え、ゆず茶やレトルトの参鶏湯といった加工品の輸出が伸びている」
 東京aTセンターの呉東煥課長は、日本の健康食ブームで、韓国料理のよさが改めて評価されていると話す。
 日本における韓国食品の市場は、拡大を続けている。キムチなど、韓国加工食品の生産を始める日本企業も出てきた。
 呉課長は「日本産のキムチに日本市場を席巻されるという心配はしていない。韓国本場の味でないと満足できないという顧客は少なくない」と言う。
 本場韓国の味が、日本の食卓を埋める日は来るのだろうか。

はったやすし 韓国料理ライター。著書に『魅力探求! 韓国料理』など。自身のブログ「韓食日記」では、都内を中心に、お勧め韓国料理店を紹介している。
 
   

チャングムが日本女性に教えた「ヘルシー&ビューティー」 八田靖史

 韓国ドラマ「チャングムの誓い」で韓国料理への関心は高まった。このドラマなどの影響で、「韓国料理=辛い」から「韓国料理=ヘルシーで美容に良い」というイメージが高まったのではないか。
 興味深いことに、韓国ドラマをよく見る層と、韓国料理店が獲得しようとする客層は重なっている。
 いろいろな韓国料理店を取材するが、店側がお勧め料理として挙げるものには、参鶏湯やスンドゥブチゲなど、ヘルシーなものが多い。「ヘルシー&ビューティー」がキーワードだ。このキーワードが女性に受け入れられた。
 実際に韓国料理は女性に人気のようだ。店内を見回すと、客の七割以上が女性ということも珍しくない。特に都内では、韓国料理店は身近になった。外食の選択肢の中に、普通に韓国料理が入るようになった。
 韓国に旅行に行く人が増え、旅行から帰ってきた人が韓国料理店に足を運ぶことも多い。
 料理店側もまた、本場韓国の味と肩を並べるレベルか、それ以上のものを提供しようと努力している。ミニトマトや小松菜のキムチ、アスパラガスのナムルといった、韓国ではなかなか見られないメニューもある。

 

オジソン 韓国家庭料理店「妻家房」オーナー・韓国料理研究家の柳香姫の長女。宮中料理研究院の黄慧性に師事。『韓流美肌レシピ』など、著書多数。
 
   

「純粋な韓国料理」の味を守り伝統的な食文化伝えたい 呉知宣

 韓国料理は体にいい。「薬膳」としての韓国料理。これが受け入れられているのではないか。
 最近、韓国料理のイメージは大きく変わった。
 10年前、キムチを買ったお客さんからクレームが何件か入った。「キムチが腐っている」という内容だった。「腐っている」と言われたキムチを食べてみると、全く腐っていない。韓国人の味覚からすれば、むしろ「よく漬かっていておいしい」味だった。
 かつてはニンニクの臭いが気になると言われていたが、ランチタイムに韓国料理を食べる人は多い。韓国ドラマや雑誌の報道などで、韓国のイメージが向上したことと無関係ではないだろう。
 小さい頃から母の作る韓国料理を食べて育ってきた。日本風にアレンジなどしていない、いわば「純粋な韓国料理」だ。
 現在韓国料理店を経営しているが、店でも純粋な韓国料理を出している。日本人向けに多少味を変えているが、大きく韓国料理の枠を逸脱するものではない。
 変わった具材を使った韓国料理があるようだが、定番韓国料理は、今後も変わらないだろう。伝統的な料理を中心に、韓国の食文化を知ってもらえるような韓国料理を提供しつづけたい。


コウケンテツ 料理研究家の母、李映林の手伝いをするうちに、自身も料理研究家に。テレビ・雑誌などで幅広く活動中。著書に『コウケンテツ おかずの本』など。
 
   

基本は「五味五色」と「薬食同源」簡単に作れる韓国料理を紹介 コウケンテツ

 簡単に作れる韓国料理を紹介している。レシピを作るときには、韓国料理の「核」の部分を変えずに、いかに複雑な工程を省くかに気を使っている。
 韓国料理は本来作るのが難しいのだが、家庭では母の簡単な韓国料理を食べて育った。日本の家庭でも、簡単に作れる韓国料理が広まっていくのではないか。
 料理研究家だった母は、病弱だった私に、栄養のつく料理をたくさん作ってくれた。現在私の料理の基本になっている「五味五色」と「薬食同源」は、母の影響が大きい。
 簡単な韓国料理を作れるようになったら、「五味五色」と「薬食同源」を、ほかの料理にも活かしてほしい。韓国料理そのものだけでなく、韓国の食文化を伝えることも重要だ。
 例えばイタリア料理は韓国料理と似ている。酒好き、女好き、母親好きなところも似ているが(笑)。イタリア料理を作れるなら、オリーブオイルの代わりにごま油を使ってみれば、韓国っぽい味は出る。
 あとは食卓に五色(赤・緑・黄・白・黒)が並ぶように気をつければ、自然と栄養のバランスは取れる。
 韓国料理は難しいと考えずに、楽しみながら作ってほしい。

 

カネモトJノリツグ 三重県生まれ。20歳で上京し、イタリアンやフレンチ、和食を幅広く学ぶ。今月六日に『LOVE in COOK』を刊行したばかり。
 
   

簡単、おいしい、作りやすい「男の料理の新定番」めざす 金本 J ノリツグ

 母親の実家が韓国料理店を経営しており、小さい頃から韓国料理を食べて育った。
 自分が紹介する料理の基本は、(1)簡単、おいしい、作りやすい(2)美容大国韓国の料理の伝統と薬膳知識を活かした美白、美肌、ダイエット(3)男の料理の新定番、だ。体にいいという要素も欠かせない。
 「男の料理の新定番」とは、あれこれうんちくを語らずとも、食べ手に素直に喜んでもらえるスマートな男の料理という意味だ。
 簡単に作れる料理でも、作ってあげると友達は喜んで食べてくれた。日本も韓国も米食文化。韓国料理は日本人にも受け入れられやすい。
 ただ、日本で簡単に手に入る材料で、本場の伝統韓国料理をそのまま作ろうと思っても無理。多少変化させても、韓国料理のエッセンスはそのままに、ベーシックなものを定着させたい。繰り返し作ってもらえることが大事だ。
 イタリアンもフレンチもできるが、無理に韓国料理と合わせたりはしない。表面的なものを追うのではなく、韓国料理の伝統を守っていきたい。
 韓国料理を「辛い」と敬遠する人はいるが、伝統的な韓国料理は白くて辛くない。そういう料理も紹介したい。

 
 
 
 
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