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2007年7月4日発行版
 
総連は被害者なのか  朝鮮総連中央本部の売却問題  
 

 総連中央本部の売却問題は、元公安調査庁長官・緒方重威氏(73)らによる詐欺事件へと問題が縮小され扱われるようになった。検察当局は、売却問題を単なるカネ目当ての詐欺事件で決着をつけようとしているようだ。朝鮮総連は果たして「被害者」なのか。これだけ大掛かりな事件が2〜3人が仕掛けただけの単なる詐欺事件だったのか。疑問は解けない。緒方容疑者は「政治弾圧だ」と、再三強調している。
(崔世一)


深まる取引の謎  「カネ目当ての詐欺事件」
検察が決着

 6月28日、東京地検特捜部は緒方容疑者ら3人を詐欺容疑で逮捕した。架空の出資話で朝鮮総連の不動産をだまし取った疑いだ。
 「差し押さえ逃れの執行妨害が基本にあったのに総連側から逮捕者が出ていないことは不思議だ」
 ある警察関係者は首を傾げている。

緒方重成氏


 総連側の代理人で元日本弁護士連合会会長の土屋公献氏(84)は、本紙取材にこう語ったことがある。
 「(総連中央の売却など)すべては、日朝国交正常化のため。緒方さんにも最後(国交正常化)まで頑張ってもらうことになっている」
 緒方容疑者も「いろいろ批判されているが、(私たちがやったことは)どこに出しても恥ずかしくはない。大義名分がある」と話していた。
 2人の話を総合すると「大義名分」とは、「日朝国交正常化」のことであるのは間違いない。
 現在の日朝関係からすると、国交正常化はまだ遠い話に聞こえる。
 最大のネックとなっているのは拉致問題だ。小泉前政権は、北朝鮮に日本人拉致を認めさせることでこの問題の解決を図った。森内閣の時は「第三国発見方式」を検討していたことが発覚し論議を呼んだこともあった。
 北朝鮮より日本のほうが国交正常化の必要性に迫られている理由はある。
 6カ国協議の経過を見るように、米国は金正日政権を認め、米朝正常化協議のテーブルまで用意している。対北朝鮮外交で日本はカヤの外に置かれようとしている。外交筋は、日本の焦りが深まっていると話している。
 総連売却事件の背後には、国交正常化をにらんで総連本部を残すべきだとする側と、総連を崩壊させたほうがよいと判断する側が綱引きを演じているとも言われてもいる。
 公安調査庁関係者によれば、首相官邸は問題が明るみに出る前に、総連売却の動きをキャッチしていた。元公安長官が関与していることも把握していたと言われる。官邸は、総連本部を保護すべきかどうか、世論の反応を待って判断しようとした形跡がある。
 元公安長官が逮捕されるという異例の事態に発展した売却事件はしかし、総連側を被害者とした詐欺事件で一件落着しそうだ。総連にノータッチであったのは、北朝鮮への何らかのサインであるのか。謎は解けず、深まる一方だ。奇しくも、緒方容疑者らが逮捕された6月28日、北朝鮮政府は日本人拉致問題について再調査を行う方針を発表した。

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