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岐路に立つ韓国 大統領選挙まで6ヶ月
大統領選挙 急変する朝鮮半島
統一日報は6月15日、緊急講演会「急変する朝鮮半島情勢の行方―運命決める12月大統領選」を東京・港区の韓国中央会館で開いた。12月19日の第17代韓国大統領選挙を控え、朝鮮半島情勢は大きく変わりつつある。韓国と日本で、親北勢力の勢いは止まらず、これまで北朝鮮に強硬政策を取ってきたハンナラ党までが北になびく動きを見せている。また、米国の朝鮮半島政策にも変化が現れている。こうした朝鮮半島情勢の変化は、日本にも重大な影響をもたらしている。朝鮮半島情勢は今後どうなるのか―韓国を代表するジャーナリスト、趙甲濟さんとニューライト全国連合の金鎭洪さんは、韓国の情勢を語った。
成長するか 幼い韓国民主主義
趙甲濟 chogabje.com代表
今年12月の選挙は、まだ幼い韓国の民主主義が成長するかどうかを推し量る一つの目安となる。
韓国政治を見る上で、歴史的に「6月」という言葉には様々な政治事件が連想され、それは今も韓国に大きな影を落としている。1950年の「6・25」(朝鮮戦争)大統領選が直選制になった1987年の「6・29民主化宣言」、そして2000年の「6・15宣言」(金正日・金大中会談)などだ。
朝鮮戦争が勃発すると、当時のトルーマン米大統領は、米国にとって韓国を守る義務がなかったにもかかわらず、米軍の韓国派兵を即決した。トルーマンの命で国連軍総司令官に就いたマッカーサーは、歴史に名高い仁川上陸作戦を敢行、北朝鮮軍を中朝国境鴨緑江にまで追いつめたが、中共軍が参戦するという事態に逢着した。中共軍はじりじりと国連軍を押し戻し、再び漢江を越え、水原に迫ろうとしたとき、マッカーサーはトルーマンに国連軍の撤退を進言した。トルーマンはしかし、「それはならぬ」と命じた。
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「月刊朝鮮」編集長などを歴任。韓国記者賞など、受賞多数。現在chogabje.com代表 |
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「我々が退けば韓国軍は全滅し、市民に甚大な被害が出る。(韓国軍が)一緒に戦えないとしても、米国は最後まで戦う」
トルーマンの言葉に奮い立ち反撃に出た米軍は、現在の休戦ラインまで戦線を押し返した。
韓国は現代史を正しく見るべきだが、それができず、金大中政権以後、歴史を見る視点において錯覚を起こしている。
2003年7月、北京の清華大学で講演した盧大統領は、尊敬する人は誰かと聞かれ、朝鮮戦争で北朝鮮軍に援軍を出した毛沢東の名を挙げた。彼は、尊敬すべき人物としてトルーマンやマッカーサーの名を挙げたことは一度もない。
1953年以降、韓国は自由民主主義を掲げてきた。しかし80年代に入り、大学生を中心に金日成の「主体思想」を標榜する勢力(主思派)の動きが活発化した。90年代初め、社会主義諸国は次々と崩壊した。これを見て韓国の政治指導者や学生たちは、まして北朝鮮のいう「共産主義」のようなものではだめだと悟らねばならなかった。しかし、90年代以降、「主思派」と呼ばれる金日成・金正日を崇拝する人たちが社会に出て、政治の中枢、社会の中核に座るようになった。そこから韓国人の危機は始まった。
金泳三大統領のような、一見保守派に見える大統領が親北朝鮮化していき、理念より民族が大事だと言いだした。
北朝鮮住民が餓死していたときに、45億ドルの秘密資金を持つ金正日は、3億ドルで餓死者を救えていたのに何もしなかった。ここでまた、北朝鮮のいう「共産主義」の欺瞞に気づかなければならなかったのだが、韓国の有権者は97年の大統領選挙で、明らかな親北朝鮮派であった金大中氏を選んだ。これで韓国は絶望的な状況に置かれた。
2000年の南北首脳会談は、金大中氏が4億5000万ドルで買った会談だった。つまり、金大中氏が金正日の海外秘密口座に不法送金し、これに機嫌をよくした金正日が渋々首脳会談に応じるという、おぞましい政治ショーだった。金大中氏の金正日への不正送金は、スパイを取り締まるべき国家情報院を通じて行われた。これはまさに「6・15事変」と呼ぶべき内容を伴っていた。
幸い韓国は民主国家だ。政権は選挙によって決められる。20年間、闘争はあったが、民主主義は機能してきた。
本年末の選挙は、親北朝鮮への政治的流れを止めることのできるチャンスだ。この選挙で親北朝鮮派でない、いわゆる「保守派」の政権が生まれれば、過去10年間は、親北勢力に対抗すべき抵抗力を培った時間だったのだと評価できるようになる。
「保守」政党のハンナラ党は、現在2人の有力な候補者を擁している。李明博前ソウル市長と、朴槿恵前党代表だ。両者の支持率は、合計60%以上だ。圧倒的にハンナラ党有利に選挙レースは進んでいる。
過去2回の大統領選挙も、情勢は「保守」系候補に有利だった。しかし負けた。理由は「保守」勢力の分裂だった。
今回の選挙は、党内の予備選挙後に、李明博候補と朴槿恵候補が協力すれば、必ず勝てるだろう。ところが不安材料が残っているのだ。
李候補と朴候補の分裂のほかに、南北首脳会談の開催で、親北勢力が息を吹き返すことが考えられる。しかし、核問題の膠着や金正日の健康悪化で首脳会談が行われる可能性は低いだろう。選挙中に、候補者の命を狙った政治テロの危険もある。MBCとKBSの大手放送局が親北勢力の宣伝機関のようになっていることも憂慮される。
親北勢力は、動員力に長けている。総動員がかかれば強い。
韓国は今、観念の世界と実際の世界の2つに挟まれて、ジレンマに陥っている。観念の世界とは政治、意識構造、価値観といった目に見えないものの世界だ。実際の世界とは、経済、技術、軍など目に見えるものだ。
現在韓国で起きている対立は、金正日を支持する勢力と、自由勢力によるものだ。今年の選挙では、自由勢力が勝利することを多くの韓国人は期待している。
自由主義の「主敵」は誰か
金鎭洪 ニューライト全国連合常任議長
北朝鮮が東海(日本海)にむけてミサイルを発射したのは、昨年7月5日だった。その2週間後、金正日は北朝鮮の党や軍部の高位幹部600人を集め、講演会を行ったそうだ。韓国の情報機関がその内容を入手し、私も資料を読ませてもらった。
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トゥレ教会牧師。71年、 川貧民村での救済運動開始。現在ニューライト全国連合常任議長。 |
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資料によれば、金正日は「南朝鮮(韓国)は、経済的に我々(北朝鮮)より豊かではあるが、いつでも我々のものにできる」と、発言している。また、2005年4月に金正日と面談した人の話によれば、「(2000年南北首脳会談で約束した)訪韓はいつ頃になるか」という質問に対し、金正日は迷わず「間もなく、占領軍司令官として(韓国に)行く」と、答えたそうだ。
恐ろしいとしか言いようがない。それでも盧政権は、北朝鮮との交流を強調し、支援を続けている。このままでは、韓国は朝鮮戦争以後培ってきた自由主義の価値観とともに崩壊の危機に直面するかもしれない。
「統一」は、民族の願いである。大韓民国憲法4条には、「自由民主主義による統一を追求する」と、記述されている。これこそ、統一の絶対原則であると私は確信している。だが、現在の韓国では「どういう形であれ、統一さえできればいい」という風潮が蔓延している。
2005年、韓国の大学生を対象にしたある世論調査の結果は、驚くべきものだった。主敵(国家)は誰なのかという質問に対し、54%が米国と回答した。北朝鮮と答えたのは、わずか30%にすぎなかった。さらに北朝鮮と米国間で戦争が起きたら北朝鮮を応援する、と答えた学生は50%を超えた。
世論調査の結果は、韓国の大学生の価値観や思考方式などに深刻な問題があることを示すものと言える。こうした若い人たちの価値観や国家観などを正すとともに、自由民主主義に基づく国家改革を行うため立ち上がったのがニューライト運動だ。
韓国には親北勢力があまりも多い。全教組(全国教職員労働組合)、韓総連(韓国大学総学生連合)は、その代表的なものだといえる。
全教組には韓国の教師48万人のうち、9万人が所属している。彼らは、小・中・高の学生たちに、金正日の主体思想を教えている。これが韓国の実情だ。
同じく韓総連も主体思想を広げる活動を展開している。1980年代から187大学で金日成と金正日の肖像画を掲げ、組織を強化してきた。彼らの間で、「偉首金同」(大丈夫か)と尋ねると、「親指金同」(大丈夫だ)と答える風習が生まれている。妙なあいさつだ。「偉首金同」とは「偉大なる首領様金正日同志」という意味であり、「親指金同」とは「親愛なる指導者金正日同志」を略した言葉である。
そんな彼らが現在、各界各層に進出し、韓国社会を混乱させている。韓国政府は昨年12月、韓総連の中心活動家だった黄仁郁を韓国の民主化運動の功労者と認定。勲章や賞金まで渡した。金正日に追従する勢力の中心人物を民主化人事に起用し、国民の税金まで支給する親北政権にあきれるばかりだ。
金大中―盧武鉉と続いた親北朝鮮政権時代。ふつうの韓国人にとっては「失われた10年」であった。国民の伝統的価値観は混乱のきわみに達した。だが、韓国の国民には、学習能力があるのだと思いたい。人々は盧武鉉政権から反面教師として多くを学んだはずだ。
だからこそ、今度は韓国の自由民主主義を土台にした正当な政権を誕生させなければならない。野党での候補単一化さえできれば、それは決して不可能なことではないのだ。
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