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2007年5月23日発行版
 
食ものがたり(100) 樫の木(最終回)
鄭大聲
 
 

昔 救荒食品  今 ダイエット食品

 トトリと呼ばれる木の実。「トトリムッ」と呼ばれる韓国の伝統食品を召し上がったことがある方は多いのではないだろうか。

   

 どんぐり、かしの実などからつくるもので、古代から人類はこの木の実を貴重な食材、救荒食品として利用してきた。
 主成分は栗などと同様でデンプン質が主成分、つまりカロリーの高い食品である。
 ただ、実の内皮の部分に、タンニンと呼ばれる渋味の強い成分がある。ムッなどの食用にするには、この皮をきれいにむきとるか、または粉にしてから、「渋抜き」を十分にしなければならない。冷たい流水などに晒すことによって「渋抜き」は行われてきた。
 渋味の抜けたデンプン質を煮つめて糊状にし、成型したのがムッである。
 トトリムッを漢字では橡実乳と表すが、ムッになってしまうと水分が多くなり、低カロリーの食品に変わる。
 いまはこの低カロリーが人気らしい。つまりダイエット食品という訳である。
 ムッをつくる材料は3つある。緑豆粉でつくる青泡(チョンポ)、そば粉からのメミルムッ、そしてこのトトリムッで、チョンポが高級とされる。
 四国の高知市には「かし豆腐」というトトリムッがある。壬辰倭乱のとき慶尚南道鎭海から来た朴好仁一族が、唐人町の豆腐座で広めたものである。
 (チョン・デソン=滋賀県立大学名誉教授)

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