| 振り回される米国の背後で
予想してはいたが、意外と早く6カ国協議は中止に追い込まれた。60日以内に、北朝鮮は寧辺などの核施設を封鎖、封印しなければならないと約束した2月13日の合意履行期限は、ほぼ守られることはなくなった。北朝鮮が協議ボイコットの理由としているBDA(マカオのバンコ・デルタ・アジア)資金返還の問題は未解決のままだ。2月合意に、金融問題の条件は含まれていない。米国は北朝鮮の態度を「バッド・ビヘイビア」(子供じみた振る舞い)と呼んでいるが、その子供に振り回されている。(政治部・朴在宇)
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「不正資金を受け入れても不利益を与えないことを保証してほしい」との中国側の訴えに、米財務省のグレイザー次官補代理は「OK」と答えたが・・・ |
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「核保有国」狙う北朝鮮
不可解 中国銀行の動き
4月4日、6カ国協議議長の武大偉中国外務次官は、寧辺核施設の封鎖処置などに関する初期段階措置の履行期限が守られるのは困難になったとの見解を示した。6日、米国務省のマコーマック報道官は記者たちとの懇談会で、「北朝鮮資金を返還することができる技術的な解決策を見つけた」と述べた。米側6カ国協議代表のヒル国務次官補も、「北朝鮮は履行期限を守るだろう」とコメントした。情報が錯綜する中、履行期限の4月13日は刻一刻と迫っている。
問題の発端は、米財務省が、BDA北朝鮮資金の凍結解除を発表する際、資金の移管先を中国銀行の朝鮮貿易口座に指定したことにある。中国銀行はしかし、不正資金を受け入れるわけにはいかないとして、これを拒否、問題の資金は宙に浮いた形となった。
奇妙な事態と言わねばならない。6カ国協議が膠着する原因は米国の対北朝鮮金融制裁にあるとして、ブッシュ政権にこれの全面解除を促していたのは当の中国であったはずだ。中国の銀行が一党独裁の自国政府の上意下達のらち外にあるわけではあるまい。まして、中国銀行は国営銀行だ。胡錦濤政府の鶴の一声でどうにでもなる。中国銀行が腰を上げない理由は何か。
中国銀行側は、米財務省のグレーザー次官補代理に、「不正資金を受け入れても不利益を与えないことを補償してほしい」と訴え。グレーザー氏は「OK」と返答していた。
ブッシュ政権は、BDAが、北朝鮮の偽ドル、麻薬資金、武器密売などで得たカネの資金洗浄を行っていたとして、米系銀行とBDAとの金融取引の中止を指示したが、BDAと共に北朝鮮の不正資金に関わっていたのは中国銀行だった。米財務省の金融犯罪捜査チームが、中国銀行に目をつぶったのは、ブッシュ政権が6カ国協議を重視し、中国の協力を必要としたからだ。米国の影響力を最もよく知り、最も恐れているのは、中国だと言っていい。中国銀行の米財務省への訴えは、それなりに理解できなくもないが、財務省の返答を得ても、資金移管先となるのを渋っている。
米国が、資金返還問題は単なる技術的なミスと言っているが、果たしてそれだけのことか。謎めいているというしかない。
2月合意による初期段階措置が実施されなければ、6カ国協議は茶番で終わり、米国の立場は完全に損なわれることとなる。
米国は2月の6カ国協議を正念場と見なし、涙ぐましい努力を北朝鮮に払ってきた。米朝2国間協議、金融制裁の全面解除、6カ国協議での大幅譲歩。ブッシュ政権は、北朝鮮が望むかぎりのものを、なりふり構わずすべて受け入れ、さらに、北朝鮮をテロ支援国家リストから除外する動きを見せ、国交正常化交渉のテーブルまでも準備した。
米国が右往左往する間、北朝鮮は着々と地歩を固めている。ミャンマーとの国交回復を図っていることが8日明らかになった。ラングーン事件で国交断絶状態にあった両国の関係修復は、テロ支援国家リストからの除外に弾みがつく。
3月22日には、北朝鮮の金桂寛外務次官が、北京での記者会見で「米国が敵視政策を完全に撤回し、信頼が築かれ、核の脅威をこれ以上感じなくなれば、核兵器問題を話し合うことができる」と述べ、核兵器と核プログラムを分けて考える北朝鮮側の意思を示した。北京の朝鮮半島外交筋は、北朝鮮が「成功的な核実験で核保有国になる」ことを強調していると伝えた。在韓米軍のベル司令官も7日、米下院軍事委員会に出席し、「6カ国協議で北朝鮮の核問題が解決されない場合、北朝鮮は2009年までに核兵器保有国になる可能性がある」と述べた。中国政府は「6カ国協議は今後、東アジア安保問題を論ずる場にしたほうがいいかもしれない」と微妙な態度変化を見せていることが最近明らかになっている。
BDA資金の返還が遅れることに米国は焦れているが、北朝鮮と中国はこれを機に確実に次のステップを狙っている。哀れなのはブッシュ政権独りだ。
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