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2006年8月15日発行版
 
新しい経済環境のなかの在日商工人   経済団体長に聞く
 

 原油高の下でも景気回復は進み、日本経済は長期不況から息の長い成長期に入った。新しい経済環境の下で、在日商工金融は経営基盤の強化と競争力アップの戦略を迫られている。商工金融の団体長に対応策を聞いた。

5000億円規模の3大信組体制へ
在日韓国人信用組合協会 洪采植会長

 05年からペイオフが完全実施された。05年度の韓信協傘下8組合の業績について。
 「2005年度は全体に良好な結果を残すことができ、いい方向にいっている。9信組(3月末の長崎商銀を含めた組合数)の総預金は5721億円で、前年より198億円(3.59%)増えた。貸出総額4254億円も前年比181億円(4,54%)伸びた数字だ。預貸率の組合平均は74.4%でまずまずであるが、貸し出し強化によって適正ラインまで引き上げられると思う。会員組合の経営基盤は強化された。並行して合併も積極的に推進している」

韓信協 洪采植会長

 合併で8組合体制になったが、近畿産業信用組合は韓信協にいつ復帰するのか。関心が集まっている。
 「近畿産業信用組合は長崎商銀と6月に合併した。在日韓国系信組のなかではいちばん大きな組合だ。関西エリアの在日韓国系破綻信組を受け、業績も良好である。いきさつがあって協会を脱退したが、いずれ協会に復帰することになると期待している」
 九州幸銀と佐賀商銀(昨年12月)、近畿産業信組と長崎商銀(6月)、横浜商銀と北陸商銀(来年7月)と、合併は着々と進められているが、どんな青写真の下に推進されているのか。
 「合併の方向については、四つくらいに統合するという考えが韓信協の合併推進委員会にある。青写真としては、北陸・中部・関東・東北・北海道で一つ、近畿で一つ、広島中心に中国・四国に一つ、九州に一つというのが民族金融機関統合の姿である。東日本で横浜・北陸のほか、愛知・あすか・あすなろが一緒になるのがよいと私は思っている。中国・四国・九州が一つになることも選択肢の一つだ。その場合、近畿産業信組を加えて全国が3大信組体制になる。
 銀行間ばかりでなく郵便局も銀行化し、スーパー等を巻き込んで競争する金融新時代の環境を考えると、預金規模が1000億や1500億円では金利面で競争ができない。貸出限度額のメリットや金利を安くできる点を考えると、5000億円規模でないと存続がむずかしい。金融庁もそう見ているようだ。
 できれば一つにして銀行くらいのものをやったらいいと思う。合併統合を5年以内に何とかやりたいが、『そういわずにもっと早く』という関係者の声もある。2000年から2002年にかけて、銀行化の構想と動きがあったときも、地道に韓信協の合併を進めるべきだった。
 7月に合併に調印した横浜商銀と北陸商銀は『とりあえず模範を示そう』として決断実行した。金融庁も歓迎している。金融行政はどんどん変わるから時期を逃さず早く推進したい。
 合併によって会員組合の健全経営が強化されれば本国政府も支援しやすいはず。全会員組合の合併統合を任期中にやりたい。もうひとつ。傘下信組の合併に対しては、本国政府の156億円の支援金の運用益から支援している。本国支援金で日本の国債を買っている。合併支援の原資である本国支援資金の運用益は、新韓銀行に預けている韓国銀行の預託金利にかかっている。預託金利は、日銀の公定歩合と連動されることとなっているので、現在は年0.1%だが、7月に公定歩合が0.4%に上がり、年末にまた上がる可能性も否定できない。すでに支援が確定した合併支援のためには、韓銀よりの預託金利年0.1%の維持がどうしても必要。至急本国政府や韓銀に陳情をする予定だ。本国政府が支援資金の趣旨を考慮し、思い切って支援してくれることを望む」
 総連との秘密裏の「5・17共同声明」とその全面白紙撤回で民団が混乱しているが。
 「民団の混乱は大きなマイナスだ。誰も望まない。
 在日同胞事業者にはRCCから債権を買い戻して事業をやっている人も多い。会員組合が協力した結果である。会員組合の財産は在日の財産でもある。民団中央団長になる人の任務の一つは、在日韓国人信組の存続と、その経営基盤を強化させることではないだろうか。地方参政権も大事だ。同時に信組の経営基盤の強化をやらないといけない。韓信協傘下信組はいま八つ。民族金融機関にもし何かあったときには民団組織が消えてしまうこともあり得ると思う。次期団長に、在日の金融機関を何とかしてほしいと強く本国政府に訴えかけてもらいたい」
 韓信協会長2期2年目の所感を。
 「2003年10月、最初に就任した時は、本国支援資金の陳情中であった。本国政府や大使館に陳情を続け、2005年3月に実現となり、その運用益をもって九州幸銀信組と旧佐賀商銀の合併や旧長崎商銀と近畿産業信組の合併を支援するまでに至った。
 昨今の厳しい金融環境に対する各会員組合の対応状況を注視しながら、全組合を対象として『地域や規模に拘束されず、できるところから』の合併に積極的な側面支援を心がけていきたい」


同胞の権益を第一にメリットない5・17
在日韓国商工会議所連合会  崔鐘太会長

 朝鮮総連との『5・17共同声明』で、在日韓国商工人が受けたメリット、デメリットは。
 「メリットは何もなく、デメリットばかりだ。公安、税務署、金融機関からの監視と規制が厳しくなった。公安からは朝鮮総連との関係その他を探られ、税務署からは民団会館への固定資産税も含め、一層厳しい目で見られるようになった。都市銀行は韓国籍を閉め出そうとしているかに見える。日韓親善協会は『民団の総連化』に警戒感を持った。民団の団長は在日同胞の権益を守ることが第一の役割だ。河丙ト団長は本国ばかり見ているように思える。在日同胞に不利益になる動きが出てくることがないよう、良識ある民団員と協力し合って、組織のあり方を研究し実行していきたい」

韓商連 崔鐘太会長

 民族金融機関に何を望みたいか。
 「在日同胞の基幹産業である遊技業が全国に1万6000店あり、その7割が在日同胞によって運営されていると言われているが、民族金融機関とパートナーシップを組んでやっていると言えるだろうか。韓信協傘下信組は最大時は39信組、預金高も2兆7700億円まであったが、今は近畿産業信組を合わせても9信組1兆1400億円だ。以前は金融機関が破綻しても預金は保護されたが、今は1000万円までとなった。金融庁は預金量5000億円をめどに一つにまとめろと指導しているので、近畿産信以外は一つか二つへの道を探るべきではないか。それによって、現在、日本の金融機関に預けられている預金を移管してもらうことも可能になるのではないか。本国から来ている銀行との協調融資(シンジケートローン)も考えていくべきだろう。関東地区では遊技委加盟企業が約400社2000店舗あるし、ブロック別に各金融機関との連携を強めてよいと思う。また、日本の銀行から融資を受ける際、建物に対する火災保険などの加入を強制されるが、民族金融機関の場合、各地区韓商の保険に入るようにするか、対応できないところは韓商連が各地区韓商をサポートしていくようにすべきと思う。将来は在日の銀行を創るべきだし、ノンバンクを民族ファイナンスの形で立ち上げるべきだ。民族金融機関は金融庁の監督を受けるが、ノンバンクは株式会社なので担保よりも事業の将来性を見越した融資ができる」
 在日韓国商工人の役割は。
 「日本の経済人との連携と交流強化をはかりたい。また、民族教育事業、同胞奨学金、青少年育成事業などに民団と協力し合って取り組みたい。さらに、若い人のベンチャー育成にも取り組みたい。アイデアはあるけど金がないという人に、応募させて出資者を募り、経済人がバックアップしていく方法も探りたい。同業者同士の情報交換も図りたい。自分だけおいしいものを食べようとすると無理が出てくるのではないか。
 私は日本人との“共生共創”を掲げており、イベントは日本人も一緒になって取り組める地域参加型の文化事業を推進すべきと思う。
 朝鮮総連の建物はフル担保に入っているが、民団の建物は担保に入っていない。在日の民団の資産がどれだけあるか、民団と協力して探ってみたいし、その建物が効果的に活用されているか、より効果的活用はないかも含め知恵を出し合いたい。
 地方参政権も、在日が事業経営をしている、その配下にどれぐらいの日本人が働いているか探って運動を進めるべきだと思う。公明党は創価学会を活用しているし、我々も来年の参議院選挙に向けて準備をして、発言権を高めるべきだ。また、帰化人クラブとタイアップして、その票も我々と共同の力にすべきだ。
 来年4月は韓商連45周年なので、大学教授、弁護士、経済人による「在日の生き方」のシンポジウムや韓流スターを招いてのイベントも企画したい。今年9月中旬には大韓商議と協約書を本調印するが、在日同胞が力を結集して発揮していくよう最善を尽くしたい」


目は世界へ 心は祖国に
在日世界韓人商工人連合会 金建治会長

 在日世総の狙いと役割について
 「在日世総は設立して11月で満1年になる新生組織ですが、『目は世界に 心は祖国へ』をスローガンに、世界各地に居住する韓人商工人とのネットワーク構築、祖国の国際的な位置の向上、在日社会への貢献などを趣旨に発足した。当面、日本全国で有力な100人の商工人を会員にし、親睦・親善・情報交換を活発にしたい。現在88人のネットワークができている。これを世界の韓人商工人と結び、広い視野で商工人の活躍の舞台を広げたい。

在日世総 金建治会長

 8月28日から中国の朝鮮族が最も多く住む吉林省延辺朝鮮族自治州延吉市で世界韓商大会(14回目)が開かれる。世界から600人が集まる。日本からは40―50人が参加する。企業を誘致している延吉市の要請もある。
 『目は世界へ 心は祖国に』このスローガンを広め、700万海外同胞のなかの商工人の結束を図る。華僑やユダヤ、印商(インド商人)に比べれば、小さいネットワークだが、世界的なネットに並ぶため勉強する点がたくさんある。いかにいいネットワークを築いていくかが課題だ。
 各地の在外コリアンを見ると一人ひとりが大したひとばかりだ。しかし、出会いがない。その出会いの場をつくることが重要だ」
 総連との「5・17共同声明」は在日商工人にどのような影響を与えたかと思うか。
 「個人的には、総連同胞と和合することはいいことだと思う。実際、地方レベルでは、花見、敬老会を一緒に行うなど交流が広がっている。
 しかし、「5・17共同声明」は手続き的にも、タイミング的にも、大きな問題があったと思う。それを無視して独断で秘密裏に行ったことはおかしなことだ。
 拉致、脱北者、覚せい剤密輸、ミサイル発射問題を挙げるまでもなく、北当局と総連のあり方が疑惑と非難の的になっている。そのさなかに和解するということは、そのような深刻な問題に目をつぶると世間に言っているようなものだ。総連に対する非難を民団も甘受するとみなされる。北や総連に発言することなく、和解するのか。
 在日社会では、特に遊技場を経営している人が多い。遊技場は公安委員会の許可事業だ。北朝鮮を支持する総連と同じと見られたら大変だ。その方々に影響がなければいいと思う。遊技場や飲食店はじめ商工人にずいぶんインパクトがある。いい状況に向かってほしい」
 在日世総の当面課題は。
 「今年度の記念事業として、先ほどお話しした延吉市での第14回世界韓商大会を支援すること。もう一つは、ソウルの(社)世界韓人商工人総連合会(世総)の指導の下に、韓人商工人の組織がない国、地域での韓人商工人のネットワーク構築のお手伝いをすることだ。
 地球は狭くなっている。商工人として情報の交換はますます必要だ。世総のポリシーはみなさんにきちんと伝わっている。知能集団としていい交流を図りたい。アメリカ、中国、日本、中央アジアにできているネットワークをアジア諸国、オセアニア、南米へとつないでいきたい。みなさん、術を知りたがっている。
 奉仕活動では早い時期に留学生奨学金を設立し次世代に貢献したい。一つひとつ着実にやっていきたい」

 



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