2005年という節目の年を送り、新たな出発を決意する2006年を迎えた。昨年は解放60周年、韓日友情年などさまざまな行事が催され、在日史100年を記念した民団の在日歴史資料館も開館された。
また11月11日には「北朝鮮人権決議案」が初めて国連総会第3委員会で決議され、12月16日には北朝鮮を名指しした初の非難決議も国連総会本会議で採択された。北朝鮮の民主化を促進する国際的運動も大きく広がり、12月8日、ソウルでは過去最大の北朝鮮人権問題国際大会が開かれた。大会には世界10カ国50余団体1000余人の人権専門家が参加して、北朝鮮の人権改善を求めるソウル宣言を採択した。しかし韓国政府は冷淡だった。
韓国では、左派的・親北的傾向が強まる中で、建国の精神である自由民主主義を発展させるべく「ニューライトネットワーク」、「ニューライト全国連合」が結成され、多くの国民の支持と期待を集めた。
だが節目の年を経たにもかかわらず、朝鮮半島と日本の関係は、未来志向的前進を遂げずにいる。南北統一問題も、民主主義的原則よりも民族共助が叫ばれ、対北支援は金正日独裁維持の方向で進められている。
韓国政府は、憲法精神の尊重を
いま韓国はどこへ進もうとしているのか。金大中政権以降の韓国は、冷戦終結の安堵感からか、自らの正統性まで投げ出して北朝鮮の金正日独裁体制と協調しようとしている。「金正日政権を刺激するな。刺激すると戦争が起こる」これが南北関係のすべてに優先するスローガンとなっている。
昨年の10月25日、鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官は、国会で「大韓民国の領土は韓半島とその付属島嶼とする」という憲法3条の改正意思を表明した。北朝鮮を「事実上の政府」と認めている現実を領土条項が反映していないためだという。領土条項は、韓国政府が朝鮮半島の唯一合法政府であることを規定した憲法精神の根幹に関わる問題だ。またこの条項は、自由民主主義的基本秩序に立脚した平和統一意志が込められた韓国憲法4条とともに、韓国の統一方向を明確に提示している。韓国国民もこうした統一政策に同意してきた。
また、国家保安法違反の疑いで告発された東国大学の姜禎求(カン・ジョング)教授に対する韓国検察の拘束令状請求方針を、法務長官が「指揮権」を発動して阻止した。国家保安法という厳然たる実定法に基づいて処理するのがいけないというのだ。民主主義の根幹の1つである「法治主義」もこのように南北関係優先の犠牲となっている。
韓国は今外交政策においても方向を見失っている。韓国の発展と平和を支えてきた「韓米同盟」は、親北優先政策で亀裂を深め、それを補完してきた日本との関係も「過去史認識問題」で対立している。盧武鉉大統領が主張する東北アジアのバランサーとは、米日と疎遠になることなのだろうか。
こうした左派的・親北的傾向の内外政策に危機感を感じた良識ある人たちは、民主主義を固守発展させようと、「ニューライトネットワーク」、「ニューライト全国連合」を立ち上げ大衆運動として盛りあげている。韓国のアイデンティティを守り、自由民主主義を発展させるため、すでに時代から見放された既存の保守とも決別して立ち上がったのである。この方向こそ、民主韓国を発展させ、正しい祖国の統一をもたらす道ではなかろうか。
在日は未来像を確立しよう
われわれ在日同胞も初心に立ち返り、未来像を確立する時期に来ている。
まず、在日社会の未来に大きな影響を及ぼす統一問題に対して明確な指針を持たなければならない。現在韓国政府が進めている金正日体制擁護の統一方向がよいのか、北朝鮮を改革開放に向かわせ、金正日独裁政権を排除した民主主義的統一がよいのか。どちらがわれわれ在日同胞の利益に合致するのかを冷静に判断する必要がある。
こうした判断を下す上で、「平和」、「東アジア共同体」、「民族共助」という心地よい言葉を隠れ蓑に、金正日擁護を巧妙に仕掛けている在日の一部学者やNGOの主張には注意が必要である。彼らは「金で買った平和でも平和がよい」と堕落した奴隷の平和論を在日社会に広め、金正日独裁政権を温存したままでも「東アジア共同体」が実現できるかのごとき「幻想」を振りまき、「感傷的民族主義」が人権や民主主義の価値よりも上位にあるかのごとき主張を行っている。
彼らは北朝鮮民主化問題を持ち出すと「戦争が起こればどうするのか」と「戦争の恐怖」で人々を脅迫し、北朝鮮の人権抑圧や脱北者問題には一言も触れない。そして「統一」、「ワンコリア」と叫んでいる。この流れが、金正日の「外柔内剛」戦術に合致するものであることは言うまでもない。
次に日本における永住のあり方も真剣に考えていく必要がある。主権回復と民族的アイデンティティ維持の問題、民族教育のあり方の問題、在日コミュニティー発展と経済的基盤強化の問題など課題は山積している。また現実化した脱北帰国者の増加にどう対処するかという問題も新たな在日問題として浮上している。このような諸問題は、その多様性から見て、画一的な本国従属型の組織では解決できない。
21世紀における在日の未来像は、既存の枠組からは生まれないであろう。在日同胞は人権と民主主義の価値基準で個を確立し、自分の頭でそれを創り出さなければならない。そしてその未来像を行動に移した時、在日の未来は明るいものとなる。 |